毎年発表される「都道府県魅力度ランキング」について、「根拠が不明確」などと自治体から批判が出て、ネット上でも「商売に利用している」といった疑問の声が上がっている。
ランキングにはどんな根拠があるのか、ビジネス利用への批判をどう考えるのか。調査会社「ブランド総合研究所」の田中章雄社長に話を聞いた。
群馬県の山本一太知事は、順位低下に「誤った認識が広がる」
この魅力度ランキングは、2009年から毎年発表されており、その都度、下位にランクされた自治体から不満の声も漏れている。
21年も、10月9日にランキングが発表されると、様々な反応があった。「気にしない」とする知事もいたが、群馬県の山本一太知事は12日の会見で、44位と前年の40位から下がったことについて、なぜか分からないと戸惑いを示した。
そして、「根拠の不明確なランキングによって、本県に魅力がないと誤った認識が広がることは、県民の誇りを低下させるのみならず、経済的な損失にもつながるゆゆしき問題だ」と批判した。さらに、弁護士と相談して、法的措置も検討するとも明かした。
調査会社のサイトによると、ランキングは、「とても魅力的」を100点、「やや魅力的」を50点、それ以外を0点として集計して作成した。全国の消費者にネット上で調査を行い、21年は、約3万5000人から有効回答があったとしている。
これに対し、群馬県の山本知事は、前年から調査結果に不満を示し、庁内チームに検証させて21年7月にその内容を公表した。そこでは、3つの問題点を挙げて、調査の妥当性に疑問を投げかけている。同県の戦略企画課は10月13日、J-CASTニュースの取材に次のように説明した。
「第1に、魅力的かという1つの項目のみで自治体を評価していることです。観光、居住、学校などいろんな要素があり、トータルしてこそ魅力度が出てくると思います。第2に、回答に対する配点が不自然なことです。魅力的との答えだけに点数を出し、それ以外は0点にしていますが、普通の調査なら均等に配分すると思います。第3に、下位25県がわずかな点数内で容易に順位が変動することです。ドングリの背比べで、誤差がはっきりしないようでは、正確性に欠けるでしょう」