立憲民主党の生方幸夫(うぶかた・ゆきお)衆院議員(比例代表南関東ブロック)が、2021年9月に千葉県松戸市で開いた会合で、北朝鮮による日本人拉致問題について、「拉致被害者というのはもう生きている人はいない」などと発言し、抗議を受けて撤回に追い込まれた。
立憲の拉致問題に対する立場は、「早期解決に取り組む」というもの。生方氏の発言撤回を受けて発表した「緊急声明」では、発言を「党としての考え方と全く相容れない」と非難。「今回の件に関し改めてお詫び申し上げます」と陳謝した。
拉致問題は「本当にあるのかどうか、ないんじゃないか」
生方氏の発言は、会合の様子が動画で公開されていたことから発覚。拉致被害者家族会と支援団体「救う会」が10月11日、抗議声明と発言の書き起こしを公開した。
発言は、会合の参加者から拉致問題への考え方を問われたのがきっかけだ。生方氏は、いわゆる「金丸訪朝団」メンバーとして訪朝した石井一・元参院議員と親しくしていることに言及しながら、
「彼の話等をいろいろ聞いてみて、拉致問題は、こんなこと言ったら悪いのかもしれないけれど、本当にあるのかどうか、ないんじゃないか」
などと拉致問題自体が存在しないとの考えを示した。さらに、
「少なくとも、何ですか、亡くなった小さい女の子、中学生かなんかで...」
と話し、拉致被害者の横田めぐみさん(57)=拉致当時(13)=の名前を思い出せなかった様子だった。参加者から「横田めぐみさん」と指摘され、次のように話した。
「横田さん。横田さんが生きているとは誰も思っていないのです、自民党の議員も。生きていたら何で帰さないの。生きているなら帰すではないですか。帰さない理由は全くないし」
さらに、「日本から連れ去られた拉致被害者というのはもう生きている人はいない」とも。改めて参加者から「横田さんは生きていないということですか」と問われた生方氏は、同様の見解を繰り返した。
「生きていないですね」
「客観的情勢を考えて、横田さんが生きていたら帰すのではないですか。帰さない理由はないでしょ。生きているのだったら何かに使いたいわけでしょ」