SNS文化は「一周回って川柳とリンクする」 「サラリーマン川柳」が今「若者」に期待する理由

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「社会の変化」映した35年

   川柳35年の歴史を振り返ると、「社会の変化」も浮かび上がってくる。たとえば90年度の第4回では、こんな句が寄せられた。

「ブランドは 見るもの聞くもの 貰うもの」貢くんの彼女(1990年度、第4回)

   27年後、第30回の1位に選ばれたのはこんな句だった。

「ゆとりでしょ? そう言うあなたは バブルでしょ?」なおまる御前(2016年度、第30回)

   91年にバブル経済が崩壊し、就職氷河期が到来した。まだ小さかった子供たちは、やがて学校で「ゆとり教育」を受け、2000年代後半以降に社会へ進出。2つの句は、社会の中心を担う「主役」が交代したことを印象づけている。

   2020年度に募集した34回作品にも、社会の変化が如実に反映されている。人々が未曽有のコロナ禍に見舞われた一年。1位になったのは、こんな句だ。

「会社へは 来るなと上司 行けと妻」なかじ

   テレワークの普及によって、家庭と会社の間で板挟みになる夫の悲哀が描かれている。

   第34回でベスト100句に選ばれた作品は、マスクの着用、テレワークの導入など、多くがコロナ禍による生活の変化を表現した句だ。しかし、「コロナ」というワードを含むものは、29位の「コロナ禍が 程よく上司を ディスタンス」(大舞剛人)の一句のみ。「コロナというワードを使わずコロナ禍の生活を表現することに、一生懸命工夫されたんだろうなという気がします」(第一生命の担当者)

   そんな34回の中で、担当者が「目を向けてほしい」と語るのは、下位の句だ。

「今のなに? 半裸横切る Web飲み会」あけたん(89位)

   「想像して思わず笑っちゃっいました。お父さんなのか、お子さんなのか、はたまた半裸がどの程度なのか全然わからないんですけど。きっと何かが横切ったんだろうなって(笑)」

   「五・七・五」の外側にある言葉を想像するのも、川柳の魅力かもしれない。

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