岸田文雄新首相の大学受験をめぐり、元財務官僚の山口真由氏の発言が不興を買っている。岸田氏は東大への合格者数日本一を続けていることで知られる開成高校の出身だが、東大受験に3回失敗。早稲田大学を卒業したという経緯がある。
そこで山口氏は「東大に3度落ちるなんて、よっぽど受験が好きなんだな、って思いました」などと発言。この発言が報道されると、「大学受験で人を揶揄する人は、その苦労が分からないのだろう」といった批判が出た。山口氏は東大も司法試験も1回で合格しており、過去の動画配信では「たくさん受ける人は、多分試験を受けるのが好きなのよね、って思ってました」とも発言している。今回の発言は、日頃の持論を披露したに過ぎないとも言えそうだ。
「大学受験で人を揶揄する人は、その苦労が分からないのだろう」
岸田氏が20年に出版した「岸田ビジョン 分断から協調へ」(講談社)では、「東大とは縁がなかった」という小見出しを立てて、3年連続で東大に不合格だったことを明かしている。いとこには参院議員の宮沢洋一氏がおり、2回目の東大不合格で抱いた感想が「あれれ、洋一さんもそんなに勉強せずに東大入ったのにな」。自分の資質について自問自答したこともあった。
「大蔵省に入省し、仮眠のようにわずかな睡眠時間でバリバリ働く7歳年上の従兄弟を思い浮かべ、自分の資質に疑問を持ったことはありました」
山口氏の発言が出たのは2021年10月2日朝に放送された「あさパラS」(読売テレビ)。発言内容を東京スポーツが報道すると、政治学者の岩田温氏が記事を引用しながら
「品性に欠くな。レギュラーになれない野球部の中学生に『よほどベンチが好きなんだね』とか普通は言わない」
などとツイート。そのツイートを細野豪志衆院議員がさらに引用し、次のように山口氏の発言に不快感を示した。細野氏は京都大学法学部卒。
「私は現役でどこも受からず、一浪して死ぬほど勉強して志望校に入った。高校受験も失敗したし、大学受験も志望校以外受からず、何度も悔しい思いをした。大学受験で人を揶揄する人は、その苦労が分からないのだろう。人生は受験の成否で判断できるような軽いものではない」