Togetter社が解説する「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド」<出張版>
ツイートまとめサービスTogetter(トゥギャッター)を運営しているスタッフがTwitterで話題になった話題を厳選し、考察するコラムの第20回です。今回は「食事の価値観」についてのWebマンガが注目された理由を探り、バズを生む要素を洗い出します。
先日、食事に対する考え方が違う夫婦の葛藤を毎日1話ずつ公開するスタイルで描いたWebマンガ『妻の飯がマズくて離婚したい』が大きな反響を呼び、Twitterでトレンド入り。大量に投稿された感想ツイートのまとめも作成されました。
<「妻の飯がマズくて離婚したい」に対するみんなの感想まとめ - Togetter>
料理が苦手で、美味しいと思えなくても「おなかに入れば何でも同じ」と考える妻と、そんな妻の作る料理に耐えられなくなってしまった夫。「メシマズ嫁」と呼ばれる「料理が不得意な奥さん」の話はネットでよく見かけますが、このマンガはどうしてここまで反響を読んだのでしょうか。
食費を削って節約する辛さ
『妻の飯が~』は、子育て情報を扱う母親向けウェブマガジン「ママスタセレクト」上で連載されていた4コマ漫画で、すでに完結しています。
劇中で妻は、子どもの将来のために貯金しようとできるだけ食事にお金をかけないよう気を使いつつ、苦手な料理に取り組んでいました。
しかし、この「節約のために食費を削ること」で、身体的にもメンタル的にもよくない影響があった、という体験談を聞くことは少なくありません。
ツイッターでも、食費を浮かせるために安いものや同じものを食べ続けたところ体調が悪化したエピソードや、節約しすぎたせいで生活に潤いがなくなり精神が落ち込んだ、といった投稿が過去に何度も話題になりました。
<食生活で『浮いた』と思っていたお金は『ツケだった』と気づかされたりするのでほどほどに「マジで欠けると体調に影響でますなぁ」 - Togetter>
<「値段が高いと感じるものは本当に欲しい物ではない」って言われて節約したら、無駄な出費が減ったけど笑顔も減った話 - Togetter>
日本は家庭料理のレベルが高すぎる?
また、『妻の飯が~』の妻は昼に事務のパートをしながら家事育児を担っていました。その中で「美味しい料理を作ってほしい」と夫から言われたため、精神的に追い詰められるという描写がありますが、そもそも「日本では家庭料理に求めるレベルが高い」という問題も存在するようです。
毎日の献立を考えたり、料理をしたりすることにハードルを感じている人が多いせいか、「海外では毎日おなじものを食べている国が多い」という話や、誰でも作れそうな簡単レシピ・時短レシピはTwitterでバズりがちです。
料理研究家の土井善晴さんの「こんなんでええんですわ」という言葉や、「炊きたてのごはんにソーセージと目玉焼きを乗せただけのどんぶり」といった簡素な料理がよくシェアされるのも、やはり料理に対するハードルが下がるからでしょう。
<毎日献立を考えるのは大変だけど実は「日本は家庭料理に求めるレベルが高すぎる」らしい→海外の食事情に衝撃を受ける人々 - Togetter>
<【家庭料理】「こんなんでええんですわ」私の中の土井善晴先生が言っている - Togetter>
「メシマズ」だけで終わらず問題解決まで描くことで話題に
こういった家庭料理が抱える問題点に踏み込みつつ、夫婦がお互いに歩み寄って「食事の価値観」をすりあわせていく家庭を描いた『妻の飯がマズくて離婚したい』。
妻と夫のどちらかを悪者にするのではなく、妻が「食事はおなかに入れば何でも同じ」と考えるようになった背景や、そこからどう変わっていったかも描いた点は、よくあるメシマズ系の話とはひとあじ違いました。
以前に「20年主婦業をしても好きになれなかった料理から解放された人」のツイートがバズったのと同じく、「料理や家事の問題がどうやって解決されたか」がわかることはシェアされるために重要と言えそうです。
<20年主婦業して、何をどうやっても好きになれなかった料理を辞めました。という人の話「最高に楽。5時になったからって仕事の手を止めないでいい」 - Togetter>
今回のマンガをきっかけに「食事の価値観」が話題になった理由を考察すると、バズを生む3つの要素が浮かび上がってきます。
・実は多くの問題をはらんでおりよく話題になる「家庭料理」など、身近で共感する層が広いテーマ
・愚痴やスカッと系で終わらず、問題解決までを描くストーリー性
・「毎日更新」のように、同じテーマに言及するツイートが絶えない仕掛け
次にこれらの要素を満たして注目を集めるのはいったい何でしょうか......?以上、Togetterがお送りする「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド出張版」でした。次回もお楽しみに。