プロ野球・巨人の自力優勝が消滅した。勝負どころの2021年9月で6勝14敗5分と大きく負け越し、完全に失速。リーグ3連覇に黄信号が灯っている。
巨人にとって「最大の誤算」との指摘も出るのが、エース・菅野智之の不調だ。
「全盛期に比べて球威が落ちている」
「リーグトップの11勝と勝ち頭だった左腕・高橋優貴が8月は1勝、9月も1勝と疲れが見えている。ただ、1年間シーズンで投げ切った経験がないのでこれは致し方ありません。むしろできすぎと言えるぐらい頑張っている。
最大の誤算はエースの菅野智之でしょう。絶不調の時期は脱したが、大事な登板を落としている。以前のように不調でも『顔』で抑える絶対的な存在感がない。勤続疲労もあると思いますが、全盛期に比べて球威が落ちている。31歳と若くないし、衰えは確実にきていると思います」(スポーツ紙デスク)
昨季は開幕13連勝を含む14勝2敗、防御率1.97。3度目の最多勝、初の最高勝率(.875)、2度目のリーグMVPを受賞。今年も当然のごとく絶対的エースとして期待されたが、春先から調子が上がらない。
故障やコンディション不良に苦しみ、4度の登録抹消を経験。内定していた東京五輪も出場辞退し、期する思いで臨んだ後半戦に入っても好不調の波が激しい。
後半戦は復調気配だが...
9月12日の阪神戦(甲子園)に登板して7回1失点で4勝目、19日の広島戦(マツダ)でも7回1失点の好投で5勝目を挙げてトップギアに入ると思われたが、25日の阪神戦(東京ドーム)は8回途中3失点で7敗目を喫した。
8回途中3失点という数字だけを見れば悪くない。だが、スポーツ紙記者は
「点の取られ方が悪い。以前の菅野なら無失点で抑えきっていた。この試合は高橋遥人が完封勝利を飾りましたが、菅野は7回に糸原健斗に先制アーチを浴びると、8回も阪神打線の勢いに飲み込まれて追加点を許した。投手戦でも勝ち抜くのが菅野の真骨頂でしたが、今年は一度崩れると歯止めが利かなくなっている」
菅野は10月1日のDeNA戦でも6回2失点の力投を見せたが、勝ち負けはつかなかった。逆転優勝に向け、巨人は大型連勝が求められる。当然、エースの登板試合での敗戦は致命傷になりかねない。「菅野らしさ」を最後に見せられるか。(中町顕吾)