シュークリーム(東京都千代田区)のコミック誌「from RED」の執筆作家作品がトレース・模倣被害に遭ったことを受け、from RED編集部は2021年9月28日にツイッター上で声明を発表した。
「どうかこれを機に改めてください」
編集部の発表によると、「from RED」で連載中の作家・紗久楽さわさんの作品「純真、久しからず」を無断でトレース・模倣した作品を、著者とは無関係の第三者が自らの作品として自費出版しようとしていたという。
シュークリームは「このような行為は断じて許すことはできない」として厳重抗議。これを受けて、トレース等を行った人物は事実を認め、自費出版予定だった本の発売の取りやめなどを約束し謝罪したという。編集部はこの人物について、「紗久楽さわ先生の別作品についても余罪の疑い」があるとして調査を行っており、明らかになり次第、報告するとしている。
さらに編集部は、この事態を受けて「トレース・模倣行為についての声明」を発表した。
トレースや模倣を行ったものを自らの作品と称する行為について、「その作家さんの途方もない研究や努力への経緯を無視し、上辺だけ真似て結果をかすめ取るような行為」だと厳しく非難している。
また一方で「本来の模倣行為とは、素敵だったものを真似てみることで、良き点を学び、自身になかった発見を得るための、そんなきっかけづくりのための行為であるべき」という見方も示している。こうした学びのためでなく、承認欲求や金銭のために模倣物を自作品として公表する行為などについては「敬意なき行為」だと断じた。
そのうえで編集部は、「作家さんを苦しめるような敬意なきトレース・模倣についてけっして許さず、今後も重く受け止めた場合には厳重に抗議を行ってまいります」と述べる。
声明の最後には、読者に対して「何か心に思うこと、後ろめたい行為があるならば、どうかこれを機に改めてください」と呼びかけた。
「編集部の言葉刺さる」と反響
from RED編集部の声明文は、29日昼現在で1万3000回以上リツイートされるなど大きな反響を呼んでいる。SNS上では「編集部の言葉刺さる」「fromREDの編集部の心意気に胸打たれた」など、編集部の対応に好意的な声が多数寄せられた。
また編集部の発表を受けて、紗久楽さわさん自身も下記のツイートを行った。
「タイ作家による拙作からのトレース・盗用の件で、検証やご心配をしてくださっている皆様へ。
後から後から、こちらで把握していなかったトレース・盗用が発見され続けているので現在、編集部が対応を行っている最中です。また追ってご報告致します」
今回トレース行為などを行ったのは、タイ出身の作家。イラストレーター・マツオヒロミさんの作品に対しても同様の行為を行っており、26日に謝罪している。
SNS上では被害に遭った作家を心配する声や、今後こうした被害が減ることを望む声が広がった。
「大好きな紗久楽さわ先生は勿論のこと、他の被害にあわれた先生方もメンタルが心配」
「さわ先生の作品とても好きなので、こういうことが少なくなるといいな...」
「海外か~未然に防げてよかったなぁ。さわ先生好きだから今後の作品に影響ないといいなぁ」
【ご報告】
— fromRED編集部 (@fromRED_ed) September 28, 2021
弊誌で連載中の作家・紗久楽さわ先生の作品が、無断でトレース・模倣されていた事案について、ご報告いたします。
本件につきましては話し合いの上、謝罪を受け止めることといたしますが、編集部として、これを機にお伝えしたいことがありましたので掲示します。あわせてご確認ください。 pic.twitter.com/f0kaKurtWz