日本の音楽グループ「Mili」(ミリー)は2021年9月27日、2月にYouTubeで公開した楽曲のMV(ミュージックビデオ)に「旭日旗」と類似したイラストが含まれていたことについて声明を発表した。
グループは「どこかの政治的な旗を表現するつもりは一切ありません」としつつ、「旗との類似点に気づかずに動画を公開したことをお詫び申し上げます」と謝罪した。
「回転する赤い放射線はその旗の赤い放射線に似ているのは事実」
Miliは12年結成。カナダ人女性ボーカリストのCassie Weiさんと日本人4人による音楽グループで、国内外に幅広いファンを持つ。17、18年には大型フェス「SUMMER SONIC」に出演。20年にはアニメ「攻殻機動隊 SAC_2045」のエンディング曲を担当した。
今年2月には楽曲「Iron Lotus」のMVを公開。内容は丸々とした白いキャラクターが、蓮の花の舞台上でコミカルなダンスを踊るというものだった。
動画公開から7か月後、グループは公式ツイッターで声明を発表。「ミュージックビデオ『Iron Lotus』のサムネイル画像及び特定のシーンがとある政治的な意味を示す旗と似ていると、視聴者からの声が届きました」とした。
実際の動画を観ると、キャラクターがダンスを踊っている背景で、赤い放射線状のイラストが回転するシーンがある。このイラストについて、動画のコメント欄には、ハングルで「旭日旗」との類似性を示すコメントが書き込まれていた。
Miliは声明の中で、イラストについて「その様な旗を表現していません。動画のどの部分も、どこかの政治的な旗を表現するつもりは一切ありません。旗に結びつく政治的な意味は御座いません」と説明。その上で、
「動画の回転する赤い放射線はその旗の赤い放射線に似ているのは事実です。完全に私達の過失です。現実的な政治と全く関係ありませんが、その旗との類似点に気づかずに動画を公開したことをお詫び申し上げます。視聴者に動画と繋がりのない問題を想起させてしまったのは、私達の無知と不注意でした。申し訳ございません」
と謝罪した。
「声明文を公開するのは正しいことなのか...」
「赤い放射線」に対する懸念の声は、動画の公開初日から寄せられていたという。動画公開から7か月後に声明を出した理由について、グループは「声明文を公開するのは正しいことなのか、正直分かりませんでした」と思いを吐露。その上で、
「懸念を公にすることで他の視聴者は動画を観る度に旗を思い出してしまうのではないかと恐れていました。声明をしないことで上記の事が起こることを回避しようと思っておりました。なぜなら、本楽曲もミュージックビデオも、あらゆる政治的な旗とも関係なかった為です」
「しかし、例え一部の視聴者だとしても、その方達だけが楽曲と無関係な出来事を想起し、不愉快な気持ちになるのは不公平だと結論いたしました。楽曲の中でも、マイノリティーを受け入れる表現を常に心掛けております。一部の方の声だからと、無視するのは正しくないと思いました。その方々の心に残された不安が少しずつ大きくなってゆくことは望んでいません。なので、この声明を公開することに至りました」
と伝えた。
今後は「最大限努力を尽くし、動画の内容を精査することを約束します」とし、「どういうシンボルが、ある国ではどういう意味を示すのか、異文化を勉強することに心掛けしています。実際、視聴者達の国々をリサーチすることから多くの喜びを感じます。私達は現実的な人種差別・暴力・残虐的な行為・歴史的事実の否定は許容しません」と意思を示した。
声明の最後には「追伸」が記載され、次のように綴られている。
「一部のファンは強く私達のことを守ろうとしてくださっております。その気持ちはよく理解しております。みなさんの温かいサポートをいつもありがたく思っております。どうか私達への『好き』を『怒り』に変換し、懸念の声を上げた方々にぶつけないでください。懸念を上げた方々は何も悪くありません、私達の責任となります。私達のファン同士が争い合うことが一番悲しい事と感じております。また、その懸念の声により私達は成長し、より良いグループになります」