立憲、富裕層への課税強化掲げる 「株安」「日本離れ」指摘も枝野氏反論

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   立憲民主党は2021年9月27日、次期衆院選に向けた経済分野の公約を発表した。今回が第6弾。「分配なくして成長なし! みんなを幸せにする経済政策」と銘打って、所得再分配の強化を改めて打ち出した。

   時限的なコロナ対策として、国債を財源に年収1000万円以下の人の所得税を実質免除したり、消費税率を5%に引き下げたりする。それ以外に雇用の安定や賃上げも打ち出す。所得税の最高税率を引き上げたり、株式の売買や配当で得られる金融所得への課税を強化したりして財源を捻出したい考えだ。

  • 衆院選に向けた経済政策を発表する立憲民主党の枝野幸男代表
    衆院選に向けた経済政策を発表する立憲民主党の枝野幸男代表
  • 衆院選に向けた経済政策を発表する立憲民主党の枝野幸男代表

「株価を高くすればいいという政策はそもそも取らない」

   公約は、(1)時限的な減税と給付金(2)生きていく上で不可欠なベーシックサービスの充実(3)雇用の安定と賃金の底上げ(4)中長期的な研究・開発力の強化(5)財源は、富裕層や超大企業への優遇税制の是正で捻出(所得再分配の強化)、の5点が柱。(1)は時限的なコロナ対策、(2)~(5)はコロナ収束後の経済対策として位置づける。

   (1)では、年収1000万円程度以下の人への所得税実質免除と低所得者への給付金支給、時限的な5%の消費税減税を打ち出す。規模としては、それぞれ5兆円、10~15兆円を見込んでいる。消費減税は、「当たり前の日常が戻ってくるタイミング」を想定。観光や飲食業に対する制限がなくなり、需要が回復しつつある時期に下支えを目指す。基本的には1年限りの措置を想定しているが、第6~7波の状況によっては延長も視野に入れる。

   (2)~(4)の財源が(5)だ。具体的には、医療や介護、子育てや教育分野などに予算を重点配分する。「同一価値労働同一賃金」の法制化を目指すほか、最低賃金は時給1500円を将来的な目標にする。これらの財源として、法人税に累進税率を導入し、現在45%に設定されている所得税の最高税率を引き上げる。金融所得への課税も強化する。

   金融所得への課税強化で懸念されるのが、株安と富裕層の「日本離れ」だ。枝野氏は前者について、株安の可能性は否定せずに、株高を誘導してきた自民党政権の方針を批判した。

「株価は安いより高いほうがいいが、株価は上がっても実体経済が良くならないし、ほとんどの国民の暮らしは良くならずに暮らし向きが悪くなってきた人がたくさんいるという状況の中で、株価を高くすればいいという政策はそもそも取らない。実体経済を反映して結果的に株価が上がってくるという、本来の株式市場の機能を取り戻していく」

富裕層の「日本離れ」リスクにはどう応える

   富裕層の動向については、次のように述べて反論した。

「よく言われるが、じゃあ本当に租税回避ができる方が、日本の富裕層の中にどの程度いらっしゃるのかということについて、どなたも実証的なことをおっしゃった方はいない。私は日本の富裕層も一定の基準に基づいて公平公正な課税で社会全体、日本全体のことを考えてご理解頂けると思っている」

   今回の公約発表は、経済分野で野党の足並みがある程度そろったことを示すことにもなりそうだ。9月8日に野党4党(立憲民主、共産、社民、れいわ)が野党共闘を求めている市民団体「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)と結んだ政策合意では、

「所得、法人、資産の税制、および社会保険料負担を見直し、消費税減税を行い、富裕層の負担を強化するなど公平な税制を実現し、また低所得層や中間層への再分配を強化する」

という文言が盛り込まれており、調印に参加しなかった国民民主党も、独自に5%への消費減税を掲げている。枝野氏は、この点を念頭に

「野党各党、足並みがそろっていることは喜ばしい」

と述べた。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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