自民党総裁選(2021年9月29日投開票)に立候補している高市早苗前総務相が 26日深夜(27日未明)放送のラジオ番組で、中国が台湾に対して軍事行動を起こしたり、それをめぐって米中が衝突したりする、いわゆる「台湾有事」に備えた構想を披露した。
台湾海峡や、台湾とフィリピンを隔てるバシー海峡で事故が起きた時に台湾と協力するための枠組みを整備する必要を訴えたほか、「侵攻することのコストとリスクを中国にちゃんと知らしめる」ことが必要だとも指摘。台湾有事に備えた日米共同作戦計画を策定したり、邦人退避について台湾と事前協議したりすることが必要だとした。
「侵攻することのコストとリスクを中国にちゃんと知らしめる」
高市氏は、自民党の中山泰秀衆院議員のレギュラー番組「中山泰秀の『やすトラダムス』」(Kiss FM KOBE」に電話出演。その中で、シーレーン(海上交通路)防衛の観点から
「台湾海峡の安定が日本の安全保障にとって重要だということが、ようやく政治的課題として俎上(そじょう)に乗るようになった」
とする一方で、通信内容を秘匿できる台湾との連絡手段や、リアルタイムで情報共有できる手段、台湾海峡やバシー海峡で事故が起きた時に台湾と協力する枠組みがないことを指摘。仮に首相に就任した際は、台湾との協力の枠組みとして(1)海空事故防止協定の締結(2)ホットラインを設置(3)対領空侵犯措置に関連する航跡情報の共有・相互通報、を行う考えを示した。
さらに、
「リスクを最小化するためには、侵攻することのコストとリスクを中国にちゃんと知らしめることが絶対に必要」
とも指摘。そのための対応策として、(1)台湾海峡危機に備えた日米共同作戦計画の策定(2)台湾を含む多国間協力体制の構築(3)共同訓練の実施、を挙げた。
邦人保護、非戦闘員退避について事前協議求める
さらに、自衛隊機でアフガニスタンから退避させることができたのは日本人1人にとどまったことを念頭に、
「どうやって邦人を保護するか、非戦闘員を退避させるか、こういったことを台湾と協議しておかないといけない」
とも述べ、一連の備えは
「ものすごく大事な話で、尖閣とか南西諸島の防衛自体にも直結する」
とした。
中国では21年2月に「海警法」が施行され、海上警備を担当する「海警船」による武器使用が認められるようになった。この動きを高市氏は問題視しており、これまでのメディア出演や討論会で、沖縄県・尖閣諸島の警備のため、海上保安庁法を改正して海上保安庁の船にもある程度武器の使用を認めるべきだとしている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)