エンゼルス・大谷翔平が勝負を避けられている。
2021年9月22日(現地時間)のアストロズ戦では相手投手陣から警戒され、自身最多となる4四球を記録。うち2つが申告敬遠だった。
これで大谷選手の受けた敬遠数はリーグトップの15に。敬遠の多さは「強打者の証」とも言えるが、過去の名選手と比べるとどうなのか。
同僚トラウトは18年に25敬遠
大谷はこの日、3番DHで出場。初回、4回に四球を選ぶと、7回2死二塁の場面では申告敬遠を受けた。また延長10回無死2塁の場面でも、2ボールとなったところで申告敬遠。大谷は2打数無安打4四球に終わり、エンゼルスは5-9で敗れた。
ホームラン争いでア・リーグトップ(46本)に立つゲレロ(ブルージェイズ)、ペレス(ロイヤルズ)を、一本差で追っている大谷選手。二度の申告敬遠に、球場のファンは大ブーイングを浴びせた。
これで大谷選手のシーズン敬遠数はリーグトップの15に。後続のバッターにも左右されるが、敬遠は一般的に強打者ほど多くなる傾向にある。日本では王貞治さんが通算最多となる427敬遠を記録。2位以下には張本勲さん(228)、長嶋茂雄さん(205)といった名選手が続く。通算7位の谷繁元信さん(158)、10位の中村武志さん(112)はいずれも捕手。DH制のないセリーグで8番を打つ機会が多かった2人は、次の9番が投手ということもあり、多くの敬遠を受けた。
投打二刀流の活躍で「野球の神様」ベーブ・ルースと比肩される存在になっている大谷選手。このシーズン敬遠15という数字は、メジャーでは多いのだろうか。
現在、ナ・リーグトップの敬遠数を記録しているのが、ナショナルズのフアン・ソトだ。7月のオールスター・ホームランダービーで大谷を破ったことで知られる22歳の強打者は、ここまで21の敬遠を受けている。
大谷選手の同僚も、過去に幾度とない「敬遠攻め」に遭ってきた。19年に米スポーツ史上最高額となる12年総額4億2650万ドル(約471億円)の契約を結んだマイク・トラウトは、17年に15敬遠、18年に25敬遠、19年に14敬遠を受け、3年連続でリーグトップを記録した。
また、今シーズン途中まで大谷選手とチームメイトだった通算679本塁打の強打者・アルバート・プホルス(ドジャース)は、カージナルス時代の09年に44敬遠(歴代5位)を受けている。
「満塁敬遠」で知られるあの選手の記録は...
そして、これまで1シーズンで最も多い敬遠を受けたのが、MLB歴代最多の762本塁打を記録したバリー・ボンズだ。ジャイアンツ時代の04年に、120もの敬遠を受けている。
ボンズは01年にMLB歴代最多となるシーズン73本塁打を記録。その圧倒的なパワーが警戒され、翌02年に68(歴代2位)、03年に61(歴代3位)の敬遠を受けた。04年にはさらに倍増し、120まで膨れ上がった。この年のシーズン232四球もMLB記録だ。
そんなボンズの「避けられぶり」を象徴するエピソードがある。ジャイアンツ時代の98年5月28日、ダイヤモンドバックス戦で受けた「満塁敬遠」だ。9回2点ビハインド、2死満塁の場面でボンズを打席に迎えたダイヤモンドバックスは、ボンズを一塁に歩かせることを選択。つまり、ボンズに長打を打たれて大量失点するリスクを取るよりも、1点を失ってでも、後続の打者と勝負した方がマシ、ということだ。結果的に後続が凡退し、敬遠策は成功。ダイヤモンドバックスは勝利を収めた。
最強の強打者として歴史に名を刻んだボンズだが、薬物使用疑惑もあり、21年現在でMLB殿堂入りは果たせていない。
ちなみに、MLB日本人野手の先駆者であるイチローさんも、マリナーズ2年目の02年に27敬遠、シーズン最多262安打を記録した04年に19敬遠、09年に15敬遠を受けている。いずれもリーグトップだ。強打者に多い印象の敬遠だが、ホームランバッターではないイチローさんがこれだけの敬遠を受けていたことに、当時の警戒ぶりがうかがえる。
23日のアストロズ戦では敬遠こそなかったものの、3四球を受けるなど、勝負を避けられた大谷選手。シーズン終了まであとわずか。敬遠の数はどこまで伸びるか。