球団創設初の3連覇を達成した強さはどこにいったのか。プロ野球・広島が最下位に低迷している。
2021年9月23日の巨人戦は0-5で敗戦。2戦連続の完封負けを喫した。24日のDeNA戦には勝利したものの、借金は16もある。
「戦力だけ見ればこの位置にいるのが不思議です」
「決して戦力がいないわけではない。侍ジャパンが金メダルに輝いた東京五輪では、菊池涼介、鈴木誠也、森下暢仁、栗林良吏と球団別で史上最多の4選手が選ばれ、大活躍しました。
故障で出場辞退しましたが、會澤翼も選出されています。小園海斗、林晃汰、坂倉将吾ら若手がレギュラーをつかみはじめ、西川龍馬、松山竜平、大瀬良大地、九里亜蓮ら黄金時代を知る主力たちもいる。戦力だけ見ればこの位置にいるのが不思議です」(スポーツ紙デスク)
戦力はそろっているが、勝てない。その原因として佐々岡真司監督の志向する野球が見えないことが挙げられる。
就任1年目の昨季は5位に沈み、今季も低空飛行が続いているが、広島伝統の「粘り強い戦い」が見られない。安打を重ねても得点が取れず、勝負どころで簡単に失点を繰り返す。
今年から河田雄祐ヘッドコーチが4年ぶりに復帰し、打てなくても走塁で得点を奪う機動力を目指したが、実現できているとは言い難い。
チームの盗塁数52はリーグ5位。もちろん、盗塁の数イコール機動力ではないが、鈴木、野間峻祥がチームトップタイの9盗塁ずつ、曽根海成が7盗塁と3選手で全体数の半分近くを占めている。足で相手バッテリーに重圧をかけられる選手が少ないのが実情だ。
「首脳陣にも低迷の要因はある」
選手のモチベーションも気がかりだ。交流戦で3勝12敗3分と大きく負け越して失速すると、チーム全体が沈んだ空気に。黄金時代は劣勢でも逆転できる雰囲気が漂っていたが、現在は主導権を握っていても逆転負けを喫する試合が増えたことで、精神的に優位に立てていない。
「戦っている選手だけでなく、首脳陣にも低迷の要因はある。チームが目指す方向性を一つにして戦わないと。個々の能力で戦って白星を積み上げられるほど甘くありません」(スポーツ紙記者)
佐々岡監督は誰よりも現状に危機感を抱いているだろう。リーグ優勝どころか、CS進出も厳しい状況だが、シーズン終盤で意地を見せてほしい。
(中町顕吾)