次の首相の出身校はどこになるのか――自民党総裁選(2021年9月29日投開票)の隠れたテーマのひとつだ。仮に岸田文雄前政調会長が首相になれば、野田佳彦氏(11~12年在任)以来の早稲田大学出身の首相だ。
出身高校も重要で、とりわけ注目されているのが、岸田氏が卒業した開成高校だ。21年には144人の東大合格者を出し、1982年から40年連続で全国最多を続けていることで知られている。OBには初代財務事務次官の武藤敏郎氏ら多くの官僚がいるが、国会議員は意外に少なく、首相経験者は前身の「共立学校」出身の岡田啓介氏(1934~36年在任)のみだ。それだけに、「初の開成出身首相」への期待がかかっているわけだ。
麻布、武蔵には首相経験者がいるのに
「男子御三家」として知られる「開成、麻布、武蔵」のうち、麻布の首相経験者には橋本龍太郎氏(96~98年在任)、福田康夫氏(07~08年在任)の2人、武蔵には旧制高校時代に宮澤喜一氏(91~93年在任)がいる。開成だけ首相の座から遠ざかっていることになり、関係者の関心事でもあるようだ。
17年9月には、開成OBの国会議員や官僚らでつくる同窓会「永霞会」(えいかかい)が発足し、岸田氏が会長に就任。当時は、
「表向きは『開成魂』の再確認だが、『岸田首相』に向け霞が関を巻き込んだ応援団の色合いがにじむ」(17年9月15日、産経新聞)
ともささやかれた。混戦模様の総裁選で、「応援団」の期待も高まっているようだ。21年9月9日にJ-CASTニュースが岸田氏の事務所を取材に訪れた際、岸田氏の開成時代の同級生が激励に来ていた。この件とは別に、岸田氏は9日に
「母校である開成高校硬式野球部の保護者有志一同の皆さまから、応援のお手紙とタオルを頂戴しました」
とツイートしている。
大学中退でも「愛塾心」高めの河野太郎氏
河野太郎行政改革相は中学、高校、大学と慶應で、大学1年の時に中退して米国に留学。ジョージタウン大を卒業しているが、「慶應出身」とカウントすれば、仮に首相になれば小泉純一郎氏(01~06年在任)以来だ。
17年の東京六大学野球秋季リーグ戦で慶應が優勝した際は優勝祝賀会に祝電を寄せるなど、「愛塾心」は比較的高い方だとみられている。05年2月のブログには、次のような書き込みもある。「塾員」「塾高」は、それぞれ慶應義塾大学の卒業生、河野氏の出身校でもある慶應義塾高校のことを指す。
「夜、慶應義塾同窓議員懇談会に出席。一杯いたのでびっくり。衆議院だけで塾員が58人。参議院に塾員が17人。参議院には塾高の同期生も一人いた」
なお、現時点で塾高出身の首相はいない。
野田聖子幹事長代行は田園調布雙葉高校を中退し、ジョーンズビルハイスクール(ミシガン州)を卒業。大学は上智大学を卒業している。出身高校に首相経験者はおらず、上智大出身者には細川護熙氏(93~94年在任)がいる。
高市早苗前総務相は、奈良県立畝傍(うねび)高校、神戸大学を卒業。宇野宗佑氏(89年在任)が神戸大の前身にあたる旧制神戸商業大学を中退している。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)
(9月25日18時追記)
宇野宗佑氏についての記述を追加しました。