クラファン返金の可能性は?
本件はクラウドファンディングで資金を募って開始したプロジェクトだったという点も、より悪質性が高いというようにネット上では問題視されている。支援者が望んだ場合、支援金が返金される可能性はあるのか。
「CAMPFIRE利用規約によると、『プロジェクトオーナーと支援者の間において支援契約が成立します。』とあります。つまり、ソルディア関係のプロジェクトの遂行者(以下プロジェクトオーナーとします)と支援者の間で直接の契約が存在することになります。契約の内容については、購入型の場合は売買契約になると考えられ、寄付型の場合は負担付贈与となり、どちらにせよプロジェクトを遂行する義務があると考えられます。したがって、プロジェクトを完遂できなかった場合、債務不履行の問題となります。
仮に今回の案件に著作権違反があり、その著作権違反のせいでプロジェクトがとん挫した場合を前提に説明しますが、今回についての支援契約は負担付贈与だと考えられるので、プロジェクトが完遂できなかった場合は、債務不履行を理由に契約を解除し、プロジェクトオーナーに対し支援をしたお金の返還を求めることができます。
もっとも、クラウドファンディングを利用する案件には、そもそもプロジェクトの遂行が困難な案件も含まれることから、プロジェクトオーナーの義務は、あくまでプロジェクトを適切に遂行する義務であり、完遂できなかったとしても、当然に債務不履行が認められない可能性もあります。
しかし、そのような立場をとったとしても、プロジェクトオーナーは著作権法等、法に反しない適切な方法でプロジェクトを遂行する義務はあります。今回のプロジェクトオーナーの行動はその義務を果たしていません。そうすると、仮にプロジェクトオーナーに完遂の義務まではないとしても、やはり債務不履行は認められるといえます」(正木弁護士)