自民党総裁選(2021年9月17日告示、29日投開票)の動向に注目が集まる中、自民党の政党支持率が上昇し、立憲民主党の支持率は下落している。菅義偉首相が総裁選出馬を断念したことも影響しているとみられる。
出馬断念が明らかになる前の8月下旬には、党の世論調査を根拠に「十分に政権が変わる可能性がある」と語っていた立憲民主党の枝野幸男代表。改めて世論調査を行い、「それに基づいた判断をしていく」とした。枝野氏は、すでに有権者もメディアも「総選挙モード」だと指摘。野党の主張も伝わりやすくなっているとして、発信を強化したい考えだ。
菅氏の出馬断念前には「十分に政権が変わる可能性があるという結果」
枝野氏は8月28日朝放送の「鶴蒔靖夫の話のキャッチボール」(ラジオ日本)で、野党の支持率が低迷しているという指摘に応える形で、報道各社よりもサンプル数が多い世論調査を党として行っているとして、
「十分に政権が変わる可能性があるという結果が、我々の手元にはある」
と述べていた。
ただ、報道各社の調査では、立憲の支持率はさらに下落傾向だ。朝日新聞が菅氏の不出馬表明後の9月11~12日に行った世論調査では、政党支持率は自民党が37%で、前回調査(8月7、8日)から5ポイント上昇。一方、立憲は5%で、1ポイント下落している。比例区の投票先を聞いた質問でも傾向は同様で、自民が35%から42%に上昇し、立憲は15%から11%に下落した。NHKが9月10~12日に行った世論調査でも自民の支持率が上昇し、立憲は下がっている。
9月13日の記者会見で支持率低迷について問われた枝野氏は、
「いつも申し上げているとおり、個別の世論調査についてはコメントしない」
とする一方で、党の世論調査に改めて言及した。
「私どもは私どもで、もっとサンプルの多い緻密な調査を選挙区ごとにやっている。菅さんが総裁選挙に出ないという状況を受けて再度進めているので、私たちはそれに基づいた判断をしていく」
「総選挙モード」で「野党の『何を考えてるんだろう』ということを聞いていただける」
その上で、「政治は時間の関数」だとして、有権者やメディアが「もう総選挙だ」というモードになっているとも指摘。メディアに対して野党についても報道するように求めると同時に、情報発信を強化していく考えを示した。
「野党の『何を考えてるんだろう』ということを聞いていただけるし、メディアの皆さんも公平性の観点から報道していただける、という状況になっているので、まさに『時間の関数』としてギアを上げて、今、発信の仕方も回数も強めている、ということだ」
「政治とは時間の関数」とは、枝野氏が台湾の李登輝・元総統に面会した時に伝えられた言葉で、それ以来、枝野氏は座右の銘にしている。
9月13日の会見では、衆院選に向けた公約の第2弾を発表。この日は人権や多様性に関する(1)選択的夫婦別姓制度を早期に実現(2)LGBT平等法の制定/同性婚を可能とする法制度の実現を目指す(3)DV対策や性暴力被害支援など、困難を抱える女性への支援を充実(4)インターネット上の誹謗中傷を含む、性別・部落・民族・障がい・国籍、あらゆる差別の解消を目指すとともに、差別を防止し、差別に対応するため国内人権機関を設置(5)入国管理・難民認定制度を改善・透明化するとともに、入国管理制度を抜本的に見直し、多文化共生の取り組みを進める、の5項目を掲げた。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)