日テレ「脱ステロイド」問題で謝罪 日本皮膚科学会など7団体は抗議「医療の混乱、看過できない」

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   日本テレビ系のバラエティ番組「ザ!世界仰天ニュース」が「脱ステロイド療法」を紹介した問題で、日テレは、「患者などに心配と迷惑をかけた」として番組サイトで初めて謝罪した。

   一方、日本皮膚科学会など7団体は、番組について「患者への悪影響が懸念される」「医療の混乱を来すことは、看過することができません」として日テレに抗議したと公式サイト上で発表した。

  • 釈明文が取り下げられ、新たに謝罪文が出された
    釈明文が取り下げられ、新たに謝罪文が出された
  • 釈明文が取り下げられ、新たに謝罪文が出された

「今後、番組では再発防止に努めてまいります」

   2021年9月7日放送の番組では、肌荒れに悩む女性が調べて見つけた「脱ステロイド療法」を自ら始め、専門医の指導も受けながら、「元通りの肌」を取り戻したとする体験談が紹介された。

   放送後に、皮膚科医らから「症状を悪化させかねない」などとSNSで番組内容への批判が相次ぎ、日テレは9日に番組サイトで、「患者が自らの判断で薬の使用を中止すると症状が悪化することがあります。治療については、医師の指導に従ってください」などとする釈明文を出していた。

   日テレは14日までに、この釈明文を取り下げ、新たに赤字で大きく記した番組についての謝罪文をアップした。

   そこでは、冒頭で、「番組内容で、治療中の多くの患者の皆様とそのご家族、携わる医師の方にご心配及びご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます」と謝罪した。また、日本皮膚科学会のサイトでは、「ステロイドの外用薬は、皮膚炎の炎症を十分に鎮静することができるなど、有効性と安全性が科学的に立証されている薬です。正しく使用すれば、全身性の重篤な副作用は起きないとされています」といった内容が書かれているとして、「患者の方が自らの判断で急に薬の使用を中止すると症状が悪化し、白内障や網膜剥離などのリスクがありますので、絶対にやめてください。治療は、医師の指導に従ってください」などと呼びかけた。最後に、「今後、番組では再発防止に努めてまいります」と締め括っている。

「患者の利益になる番組を制作することが使命」と見直し求める

   一方、日本皮膚科学会、日本アレルギー学会、日本臨床皮膚科医会、日本皮膚免疫アレルギー学会、日本小児アレルギー学会、日本小児皮膚科学会、日本アレルギー友の会(患者会)は9月14日、組織トップの連名で抗議文を日テレに提出したと、それぞれの公式サイトで発表した。

   そこではまず、番組内で、「ステロイドは本来体内で作られるが、ステロイド薬の使い過ぎにより体内でステロイドが作られなくなった」「再び体内で作られるようにするには、ステロイド薬を断つしかない」といった表現をしたことについて、「科学的に明らかに根拠のない内容もあり、患者さんへの悪影響が懸念されます」と指摘した。

   続いて、番組について、次のように4つの問題点を挙げた。

1. ステロイド外用薬の使用を、種類も使用法も区別すること無く否定し、ステロイド外用薬を用いた治療中の患者さんに恐怖と不安をあおる内容であったこと。
2. 脱ステロイド「療法」という用語を用いることで、ステロイド外用薬を使わないことをひとつの治療法として、あたかも疾患が治るかのごとき期待を抱かせる内容であったこと。
3. ステロイド外用薬を使うことの危険性を把握し、「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」に沿って診療を行っている医師と患者さんに不必要な不安と妨害を与えるものであったこと。
4. 番組を視聴した結果、多くの健康被害をもたらす可能性が高いこと。

   そのうえで、日テレに対して、次のように批判した。

「1990年代に始まったステロイド外用薬に関する誤解や誤った報道により、『脱ステロイド』と呼ばれる不適切な治療が横行し、多くの患者さんが不利益を被った歴史があります。日本皮膚科学会では『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン』を策定し、標準治療の普及に努めて参りました。その結果、ステロイド外用薬に関する誤解や誤った報道が減ってきましたが、今回またこのような番組が放送され、医療の混乱を来すことは、看過することができません」

   最後に、「マスメディアは科学的根拠に裏打ちされた情報を基に、患者さんの利益になる番組を制作することが使命であると考えます」と訴えており、日テレに制作姿勢への見直しを求めている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

姉妹サイト