「患者の利益になる番組を制作することが使命」と見直し求める
一方、日本皮膚科学会、日本アレルギー学会、日本臨床皮膚科医会、日本皮膚免疫アレルギー学会、日本小児アレルギー学会、日本小児皮膚科学会、日本アレルギー友の会(患者会)は9月14日、組織トップの連名で抗議文を日テレに提出したと、それぞれの公式サイトで発表した。
そこではまず、番組内で、「ステロイドは本来体内で作られるが、ステロイド薬の使い過ぎにより体内でステロイドが作られなくなった」「再び体内で作られるようにするには、ステロイド薬を断つしかない」といった表現をしたことについて、「科学的に明らかに根拠のない内容もあり、患者さんへの悪影響が懸念されます」と指摘した。
続いて、番組について、次のように4つの問題点を挙げた。
1. ステロイド外用薬の使用を、種類も使用法も区別すること無く否定し、ステロイド外用薬を用いた治療中の患者さんに恐怖と不安をあおる内容であったこと。
2. 脱ステロイド「療法」という用語を用いることで、ステロイド外用薬を使わないことをひとつの治療法として、あたかも疾患が治るかのごとき期待を抱かせる内容であったこと。
3. ステロイド外用薬を使うことの危険性を把握し、「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」に沿って診療を行っている医師と患者さんに不必要な不安と妨害を与えるものであったこと。
4. 番組を視聴した結果、多くの健康被害をもたらす可能性が高いこと。
そのうえで、日テレに対して、次のように批判した。
「1990年代に始まったステロイド外用薬に関する誤解や誤った報道により、『脱ステロイド』と呼ばれる不適切な治療が横行し、多くの患者さんが不利益を被った歴史があります。日本皮膚科学会では『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン』を策定し、標準治療の普及に努めて参りました。その結果、ステロイド外用薬に関する誤解や誤った報道が減ってきましたが、今回またこのような番組が放送され、医療の混乱を来すことは、看過することができません」
最後に、「マスメディアは科学的根拠に裏打ちされた情報を基に、患者さんの利益になる番組を制作することが使命であると考えます」と訴えており、日テレに制作姿勢への見直しを求めている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)