「本当に生活が厳しいお客様には無料で提供します」――群馬県渋川市にあるラーメン店「らぁめん家 有坂」が始めた取り組みに称賛の声が寄せられている。
コロナ禍で生活が厳しくなった客を対象に、商品の無料提供を始めるという。あくまで自己申告制で、悪用されるリスクもゼロとはいえない。なぜ実施に踏み切ったのか。店主に聞いた。
緊急事態宣言中の限定サービス
2015年に創業した「らぁめん家 有坂」の特徴は、10種類前後の煮干を組み合わせて作るスープ。無添加食材にこだわり、自家製麺で提供している。
同店が注目を集めるきっかけとなったのは2021年9月12日、店の公式ツイッターで「本当に困っている方は遠慮せずぜひご利用下さい」として、
「緊急事態宣言により学生さんでバイトがなく生活が厳しい、社会人でコロナで仕事がなくなり収入が減り生活が厳しいとおっしゃっているお客様がたまにいらっしゃいます」
「本当に生活が厳しいというお客様には(年齢は何歳でもOK)緊急事態宣言中は僕の好きな[かけ(淡麗)]並、中、大を無料で提供します」
などと案内したこと。投稿では、「但し嘘はつかないでください」とも伝えている。
続くツイートでは、利用のハードルを下げるため、「注文時にしっかり見せる必要はないのでテーブルの上に携帯を置いて上記の画像をそっと見せていただければ対応致します」と補足している。
無料で提供する「かけ」は、「かけそば」や「かけうどん」のように麺とスープを純粋に楽しむことができる一品。並盛の価格は650円だ。そのラーメンを生活に苦しむ人に無料で提供するという取り組みに、ツイッターでは、
「有坂さん、マジで格好いい!!」
「コロナ禍で自分たちも大変な中で、すごいな...」
「なかなか真似できる取り組みじゃないですよね。敬服」
「心遣いが凄い」
と称賛の声が上がっている。
「積極的に利用してほしいです」
13日、J-CASTニュースの取材に応じた店主の有坂勇気さんは、自己申告制とした今回のサービスが抱えるリスクに、
「そこはもうお客様のモラルにまかせるしかないかな」
と思いを語る。実施の動機については、コロナ禍で苦境に立たされている客の状況を耳にしたことで思い至ったという。
「僕は協力金をいただいたりして助けていただいているのでその分お客様に還元できたらなと思いまして」
有坂さんは「ブタハトモダチニボシハシンユウ」という2号店も運営しており、投稿では「本当は2店舗でやりたい」ともつづっていた。しかしながら、従業員らに負担をかけたくなかったとして事前告知はせず、有坂さんが「1人でまわしている」同店のみの実施にとどまった。
ネット上での反響を受けて有坂さんは、「応援していただけてるのだなと思いとても嬉しく頑張ろうと思いました」と喜びを表す。サービス利用者はまだいないとのことだが、
「こんな御時世になったのは誰のせいでもないので恥ずかしい事は全くないので積極的に利用してほしいです」
と訴えた。
拡散お願い致します。
— らぁめん家 有坂 (@arisakayuki0822) September 12, 2021
本当に困っている方は遠慮せずぜひご利用下さい。 pic.twitter.com/9GOsZDT9Fl