朝日新聞社は2021年9月11日、留学用教材の譲渡サイトを取り上げた記事について、内容が不正確だったとして謝罪した。
記事をめぐっては、米国にこの秋留学した女性(18)がツイッターで、自身が立ち上げたサイトにも関わらず、別の友人が立ち上げたものとして報じられているなどと訴えていた。
女性は朝日側と交渉を続けてきた、と訴え
朝日のこの記事は、「海外大学受験の教材、譲ります 灘高OBがサイト開設」のタイトルで2021年5月10日にウェブ版に掲載された。
海外の大学に志願するのに必要な大学進学適性試験(SAT)などの教材は、価格が高く置いている書店も少ない。そこで、灘高校(神戸市)OBで米名門私立大学に入学予定の男性(18)が、留学を目指す高校生に使い終わった教材を譲るサイトを4月に友人と立ち上げたと、記事で紹介した。
これに対し、女性は記事が出た5月10日、ツイッターでサイトは自分が立ち上げたものだと明かした。記事で紹介された灘高OB男性とみられるユーザーも、朝日の取材のときに、女性が立ち上げたと記者に説明したとリプライを返していた。
その後、9月6日になって、この女性は、記事に関して朝日側と交渉を続けてきたとして、改めて「誤報」だとツイッターで苦言を呈した。
女性のツイートによれば、記事を書いた記者は、女性が別団体に関して特集される予定だったため、同じ人が重なってしまうという理由で友人の男性がサイトを立ち上げたことにした、と説明したという。
女性は、ネット上の誹謗中傷に困っていたため、男性は、代わりにツイッターでシェアしてサイトの宣伝をしていただけだそうだ。
朝日側はこの時点では、「該当記事は公開を終了します」とだけ女性に伝え、記事を削除する理由の説明や謝罪はしないとしていたという。
朝日の謝罪に女性は不満示す
ツイートした女性は、別の取材でこの記者に会ったときに、教材譲渡のサイトを立ち上げたことを説明していたともいう。
女性は、記事が掲載された5月、朝日との交渉で精神的に追い込まれたものの、泣き寝入りはしたくないと考え、この5か月ほど交渉を続けてきたとツイッターで打ち明けた。しかし、朝日側の姿勢に疑問を覚え、今回の投稿に踏み切ったと説明している。
女性の訴えを受け、朝日新聞社は9月11日、公式ツイッターなどで、5月10日付の記事で教材譲渡のサイトを立ち上げたのは女性だったと認め、記事の公開を終了したとする謝罪文を出した。
そこでは、女性は、自身の受験時に先輩らからテキストを譲り受けた経験に基づき、後輩らの助けにしようと設立したものだとして、「こうした経緯を紹介しておらず、見出しと記事ともに不正確でした。おわびします」と説明している。
これに対し、女性は9月11日にツイッター上で、朝日の記者には自分のサイトだと事前説明したのに謝罪文で「不正確」と済ませるのはおかしい、捏造ではないかとの意見のリプライを受け、自分も朝日側に対して、そう指摘したと明かして謝罪文に不満を示した。
朝日新聞社の広報部は13日、J-CASTニュースの取材に対し、「ご質問にまとめてお答えします。サイトを設立した方を記事内で紹介しておらず、見出しと記事ともに不正確でしたのでおわびしました。記事の公開は終了しました」とコメントした。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)