マーケティングを実施せず、トレンドを追わない姿勢
「パンダの穴」の総合統括を務める、電通テックのクリエーティブディレクター ・飯田雅実さんによると、「パンダの穴」では、マーケティングを実施せず、トレンドを追わないことを心掛けている。開発時には、それぞれのクリエイターが考えた「面白いもの」を引き出すようにしているという。
「広告業界ではマスを対象としているので、日々の業務では、考えた企画にどれくらい多くの人々が反応するかを考えています。ですから自分たちが面白いなと感じたことは、だいたい何百万人もしくは何十万人の人が反応するだろうなという感覚があります。
こうした経験を活かし、ガチャ業界ではあえてマーケティングを行わないと決めました。自分たちのセンスや経験を大切にし、取り組みたいと考えています」
飯田さんによると、パンダの穴の商品は、1年に1回開催するタカラトミーアーツとの合同プレゼン大会で決定している。そのためにトレンドを追いかけていては、商品化した時には廃れている可能性もある。一方で、こうしたスタンスだからこそ唐揚げ工務店のような長年にわたり愛される商品が生み出せたのではないかと振り返る。
またガチャの開発は、クリエイターたちにとってもいい経験になると意気込む。
「『パンダの穴』を立ち上げた当時は、ガチャメーカーは15社ほどだったと思いますが、広告業界では誰も足を踏み入れていなかったので、目の前にフロンティアが広がっていると思いました。
『パンダの穴』では、『何かを感じる』といった言語化できない面白さを大切にしています。これは広告だとなかなか許されないことで、広告業界ではプレゼンの時に、どんな表現でも言語化し、説明することが求められます。一方でガチャの企画は、面白ければ商品になる可能性が高いので、クリエイターにとってもいい経験になると思います」
「パンダの穴」は現在も、新作を作り続けている。唐揚げ工務店を手掛けた伊藤さんは、最後にこう述べた。
「新作に関しては、お伝えできませんが、やはり本気で変なことを考えているので、また反応してくださる方がいると、なによりです」
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)