森友再調査問題は「『説明をします』と言っています。それだけです」
―― 最後に、9月8日に高市早苗衆院議員が開いた出馬会見に関連して、2つほどお願いします。1つが、森友学園の再調査問題です。先ほど(9月9日午後)の「バイキングMORE」(フジテレビ)でも指摘されていたように、なかなか国民の皆さんには理解を得られていない印象です。「すでに行われた調査の結果の中で説明するのは大事だが、再調査はしない」という理解をすればいいですか。
岸田: 調査は十分行われ、報告書が出されていると思います。あと裁判をしていますから、裁判の行方も見守らなければならない(編注:自殺した財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さんの妻・雅子さんは、真相解明のために国などを相手取って損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こしている)。それでこれから判決が出る、その上で国民の皆さんから納得したかどうかという、いろんな意見が出てくる、必要であれば充分説明させていただく...、これはずっと言ってるわけです。私は調査の話ではなくて、「説明します」ということを申し上げているので、最初から私は「説明します」以外のことは言っておりません。だから、勝手にいろいろな臆測をしたのかもしれませんが、私の言葉を点検していただければ、「説明します。国民の皆さんが納得されることは大事ですね。丁寧な説明を続けます」。それをずっと言い続けていると私は思っていますので、周りの反応は、どうも理解できません。
―― 発言が意図しない形で受け止められている、ということでしょうか。
岸田: よく分かりません。どういうことか分かりません。「説明します」ということを、ずっと言い続けています。
―― 裁判の話が出ました。判決が確定したら...。
岸田: それもやっぱり大事ですよね。日本の国で、強制捜査権を持ってるのは司法だけですから、それを(もとにした)しっかりとした判断が下される、それは大事なポイントになると思います。
―― 判決が確定しても(原告から)納得しないという声があった場合、再調査の可能性はありますか。
岸田: 「説明をします」と言っています。それだけです。
―― 高市氏の記者会見では、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出についても話題になりました。高市氏は「さらに日本全体に風評被害を広げてしまう、その可能性があるので、そのリスクがある限り私であれば放出の決断を致しません」と話しました。政府は2023年春に海洋放出を計画していますが、どのように対応しますか。
岸田: 放出しないで済むなら、それもあるのかもしれませんが、今はもう(貯水タンクは)いっぱいいっぱいです。放出しなかったらどうするのか。私はちょっとそれは理解できないので...。これは放出することによって風評被害が出ることが問題になるわけですから。科学的には、普通の原発と比べても、そういった濃度は高くない。それはしっかり説明し、なおかつ風評被害が出てくる可能性があれば、やはり国として国際社会や、あるいは地元に対して説明を繰り返すと同時に風評被害が起こらないような様々な手続きをしていかなければならない。私はそういうことであると思っています。
岸田文雄さん プロフィール
きしだ・ふみお 衆院議員、宏池会会長。1957年生まれ、広島県出身。早稲田大学卒業後、日本長期信用銀行入社。議員秘書を経て、1993年の衆院総選挙で旧広島1区から出馬し初当選。現在9期目。自民党では政調会長、内閣では外務大臣や防衛大臣を務めた。