自民党の河野太郎行政改革担当相は2021年9月10日午後、衆議院議員会館で党総裁選(9月17日告示、29日投開票)への出馬会見を行った。
8日の高市早苗前総務相の出馬会見では、終了間際に「ヤジ」を飛ばす記者が現れ、会場が一時騒然となった。今回の会見でも、河野氏に対し「安倍さんに日和ったんですか?忖度したんですか?」「安倍監督内閣になるんじゃないですか?」などとヤジが飛ぶ一幕があった。
「まだ始まってないのに...」周囲も呆れ
総裁選への立候補は岸田文雄前政調会長、高市氏に次ぐ3人目。河野氏は会見冒頭「皆さんと一緒に笑い、皆さんと一緒に泣き、皆さんの思いを受け止め、皆さんに共感していただける、そんな政治を通じて人が人に寄り添う、ぬくもりのある社会を作っていきたいと思っております」と出馬に際しての抱負を語った。
これまで「脱原発」を主張してきた河野氏。注目されたエネルギー政策については、今後の原発の新増設は「現実的ではない」としながらも、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」実現のため、安全が確保された原発の再稼働は「現実的」だとした。
そんな河野氏のエネルギー政策をめぐり、会見開始前に一波乱があった。開始時刻より15分ほど早く会場入りした河野氏がカメラマンの撮影に応じる中、一部の記者からこんなヤジが飛んだ。
「脱原発が抜けてます!脱原発が抜けてんのはなんか理由あるんですか?」
当日記者陣に配布された河野氏の政策資料に、原発に関する記述がなかったことを受けたものだ。同じ記者は、こう続けた。
「安倍さんに日和ったんですかぁ?!忖度したんですか?」
8日の高市氏の出馬会見でも、森友学園問題の再調査をめぐり、フリーの記者が「安倍さんの疑惑に触れないのは忖度しているせいですか?」とヤジ。それに対し「おい、ルール守れよ!」と怒号が飛ぶ一幕があったばかり。
会見が始まる前のヤジに、和やかな雰囲気だった会場が、ややピリついた。そんな中、司会者は次のようなアナウンスを行った。
「16時直前から(会見を)はじめますので、河野太郎大臣は一回ここで引かせていただきます」
会場に笑い声が広がる中、河野氏は会場を後にした。ヤジを飛ばした人物へ向けてなのか、「まだ始まってないのに...」と呆れる記者もいた。
廊下に響き渡る「河野さーん!」
しかし、これだけでは終わらなかった。河野氏がすべての質疑応答を終え、司会者が会見の終了を告げる中、これを遮るように一部の記者が口を開いた。
「調査してくださーい!」
河野氏が質疑応答の中で、森友学園問題の再調査について「必要ない」と答えたことを受けたものとみられる。
河野氏が会場を去ろうとする中、別の記者も「安倍監督内閣になるんじゃないですか?」とヤジを飛ばす。
アナウンスを遮った先述の記者も再び「河野さん!移民とか難民制とか取りますか?河野さん!河野さん一言答えて!」(河野氏は過去に移民政策の必要性を語っていた)と投げかける。
いずれのヤジにも、河野氏は反応する素振りを見せず。そのまま会場を出たが、その後も議員会館の廊下には「河野さーん!」と問う声が響き渡っていた。