レトロ自販機破壊事件は「他人事ではない」 別オーナーが語る修理の難しさ...過去に同じ被害も

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レトロ自販機の修理は難しい

   製造から3、40年が経過しているレトロ自販機の修理は、一筋縄ではいかない。嵯峨さんは、「電子部品や電球、注文ボタンのような特徴的な形をした部品については、代替品の用意ができない場合もある」と話す。メーカーにも部品がないことがあるためだ。

   さらに時代の変化で用いることができなくなるものもある。例えば嵯峨さんの自販機の冷却器は、フロンガスを用いるものだった。しかしフロンガスは環境への配慮から現在では利用が制限されている。そこで嵯峨さんはクラウドファンディングで修理費用を募り、新たな冷却クーラーを取り付けた。

   なお、この機能の修理を担当してくれた知人がボタンも直してくれたという。

「冷却機能の修理を担当してくださった知人は3Dの造形や3Dプリンターを扱える人だったので、残された注文ボタンから設計図を起こして新しいボタンを作ってくださいました。これにより、本来の6つボタンが付いた姿に戻すことができたのです」

   このように嵯峨さんは、積極的に現代の技術を取り入れた修理をした。しかしこうした方法には葛藤もあるという。

「本来の部品・電装品にこだわるオーナーさんもいらっしゃると伺ったことがあります。当時物の部品を使ってこそレトロ自販機というご意見も、とても理解できます。元気に稼働させ続けることと、レトロ自販機らしさを保ち続けることの間で、悩むこともあります」

   そのうえで、相模原市の自販機については「オーナーさんは、珍しい自販機を何台もレストアしてきたことでとても有名な方です。先方にも修理する上でのポリシー、こだわりがあると思います。それを知らずに修理方法について口を挟むようなことは、私にはできません」と行方を見守るとした。

   また相模原市の自販機と嵯峨さんのものでは、自販機のタイプや注文ボタンの形も異なるという。

   最後に嵯峨さんは、レトロ自販機の魅力をこう述べる。

「30年以上活躍してきた機械ですので、機構やデザインはからアナログさ・昭和を感じます。故障も多く、お客さんに迷惑をかけることもしばしばあります。それが妙に人間くさいような気もして、愛着がわいています」

   ハンバーガー自販機は、設置台数が全国に20台未満しかなく、どれも30~40年働き続ける非常に貴重なものだという。そのため、こうした自販機を利用する際は普通の自販機よりも一層優しく取り扱ってほしいと述べる。具体的には、以下の4点を意識してほしいと訴えた。

・コインは1枚ずつ、ゆっくり入れて下さい。
・ボタンはそっと押してください。
・商品が出てこないこともあります。慌てずにお店の人を呼んでください。
・自販機が不調でも、それを楽しむくらいの広い心で接しましょう。

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)

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