神奈川県相模原市内にある人気のレトロ自販機が一部破壊されたと、被害状況を撮った写真がツイッターに投稿され、拡散している。
防犯カメラには、カップルで来た男が注文ボタンを何度も殴る様子が映っていた。設置した会社は、器物損壊の被害届を出し、県警が捜査している。
そばにいた女は笑い出し、スマホを取り出して写真撮影
白っぽい服を着た若い男が、黒っぽい服を着た若い女と一緒に、ハンバーガーの自販機前に来た。女は、男の左肩に右手を置き、親しげな様子だ。
ここは、「中古タイヤ市場」相模原店の敷地内で昭和の懐かしいラーメンやポップコーンなどの自販機が並んでいる人気のコーナーだ。店のサイトによると、タイヤ交換などの待ち時間に楽しんでもらおうと設置したそうだ。
ところが、そのうちハンバーガー自販機の注文ボタン部分が何者かに壊されたと、2021年9月6日になってツイッターで報告があった。
投稿された写真を見ると、プラスチックのボタンには大きくヒビが入り、上の部分が欠けている。投稿者は、設置する会社の社長から伝言を受けて投稿したといい、前日の5日夜にスイッチ系が壊されたとして、「博物館級の自販機」をもっと大切にしてほしいと訴えている。
近くにあった防犯カメラには、カップルの男が何度も殴るなどした映像が残っていたといい、8日になって、テレビの情報番組で取り上げられてその映像が流された。
映像を見ると、男は、小銭を自販機に入れるが、戻って来てしまい、もう1台あるハンバーガー自販機で試すが同じだった。
すると、男は突然、右手のこぶしでボタンの1つをパンチし、さらに右ひじでも打って、ともに大きな音が響いた。そばにいた女は、それを見て笑い出し、男は、ダメ押しのように再びこぶしでボタンをパンチした。女は、スマホを取り出して壊れたボタンを写真に撮り、2人はその場を去って行った。
同じボタンの部品が手に入らない
中古タイヤ市場を運営するラットサンライズの斉藤辰洋社長は9月8日、J-CASTニュースの取材に対し、自販機が壊されたのは、5日の22~23時の間だと明かした。
「自販機の中でコインが詰まってエラー状態になって、機械がお金を受け付けなかったのでしょう。運悪く、2台ともそうなったのだと思います。ハンバーガーは売れ切れにはなっていませんでした。壊したのは、腹が立ったというよりも、いいところを見せようと調子に乗ってやったのでしょうね」
壊されたハンバーガー自販機は、コックのおじいさんがパネルに描かれ、60秒で焼ける「ほっかほかハンバーガー」とうたってある。斉藤社長によると、35年前に製造されたもので、使わなくなって保管していた業者から譲ってもらったそうだ。
このハンバーガーを作っていた会社はもうないため、食品会社に独自に作ってもらい、280円で販売している。チーズ、テリヤキを含め、ここだけで食べられるオリジナルのハンバーガー3種類をボタンで選ぶことができる。
レトロ自販機は、古い機械のため、同じボタンの部品が手に入らないといい、「どうするかまだ考えておらず、この1台をまた稼働できるメドは立っていません」と斉藤社長は明かす。
防犯カメラには、カップルの顔も映っており、相模原南署に器物損壊の被害届を出し、同署に受理してもらって捜査中だとしている。
「夜間は、マナーの悪い人も多く、レトロ自販機の一部が壊されることのほか、その前で食べ散らかしたり、駐車場にゴミを放置したりされることもあります。とはいえ、あそこまで自販機が壊されることはめったになく、ショックですね」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)