「野党も望んでいるのですから...」
任期満了日の前の30日以内に衆院選を行うという規定は、公職選挙法第31条第1項で定められている。ただ、第31条第2項には
「前項の規定により総選挙を行うべき期間が国会開会中又は国会閉会の日から30日以内にかかる場合においては、その総選挙は、国会閉会の日から31日以後35日以内に行う」
という規定もある。伊吹氏は、この条項を根拠に、臨時国会を召集した上で衆院選を先送りすべきだとした。
「野党も望んでいるのですから国会を開き、堂々と国民の前で質疑を行い、当初より総選挙日程を後にずらすべきでしょう」
憲法第53条は、衆参いずれかの総議員の4分の1以上の要求があれば「内閣は召集を決定しなければならない」と規定しており、野党はこの条文を根拠に新型コロナ対策を議論する臨時国会の早期召集を求めている。だが、召集の期限は定められておらず、与党側は召集の先送りを続けている。伊吹氏の投稿の「野党も望んでいるのですから」の部分は、こういった経緯を念頭に置いている。
衆院選の投開票が任期満了後にズレ込む可能性は、8月下旬にも指摘されていた。当時根拠とされていたのは、憲法第54条にある、解散の日から40日以内に衆院選を行うとする規定だ。これに従うと、任期満了の10月21日に解散すれば原理的には11月30日まで投開票日を遅らせることができる。このうち最も遅い日曜日は11月28日だ。新首相が臨時国会を解散して総選挙に突入する可能性もある。
立憲民主党の枝野幸男代表は8月18日の記者会見で、憲法第54条の規定を「一種の『憲法のバグ』だと思っている」として、先送り論を
「10月21日以降にならないと総選挙ができないという状況であるとすれば、そのこと自体、政権与党が大きな政治責任を負わざるを得ない」
などと批判していた。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)