「かじ取り失敗すれば業界全体に大ダメージ」 東京ビッグサイトのキャンセル料減免、なぜ期間延長が必要なのか

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「自社リスクの回避だけを考えるわけにもいきません」

   イベント会場の利用申込日と、イベント開催日には大きな隔たりがある。会場利用申し込み時にはイベントを実施できる見込みであっても、開催までの間に新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言が発令されるなどして、イベント参加予定者が想定を下回ることやイベント自体の中止を余儀なくされることがある。キャンセル料減免措置については、そうした状況でイベントの開催規模を縮小したり会場を手放したりする判断の一助となる。

   趣味で制作した本を売買するイベント「同人誌即売会」を運営する赤ブーブー通信社の代表・赤桐弦さんは、こうした背景からキャンセル料減免措置が延長されることを望んでいる。

   しかし赤ブーブー通信社は、キャンセル料減免期間終了後も、東京ビッグサイトでのイベントを複数予定している。赤桐さんは、キャンセル料減免期間が延長されると信じてイベントを予定しなければ、産業全体が縮んでしまうと述べる。

「キャンセル料減免措置がないことを前提とするのが、リスク回避の鉄則であるのは確かですが、それはつまり『最小規模での計画』か『開催見送り』となってしまいます。私たちは自らの責任でそのリスクを判断する必要があります。
見えにくいのですが、ここで決める方針は関連産業にも多大な影響を及ぼします。10か月先のイベントの開催規模が関連産業の金融機関からの借入計画などにも波及しますので、短期的な自社リスクの回避だけを考えるわけにもいきません。
かじ取りを失敗すれば業界全体に大きなダメージが帰ってきてしまいます。当然、私たちにもそのダメージは降りかかってきます」

   もしキャンセル料減免期間が延長されなければ、「空っぽのホール」に全額を支払うことになりかねない。赤桐さんは「かなり大きな痛手となりかねない」と不安を吐露する。

「この先どうなるかわからない中で、莫大なキャンセル費用の負担も考えながら利用申込を提出しなくてはいけないのはとても胃が痛くなり、僕の髪の毛もどんどん白くなっていきます。
しかしキャンセル料減免措置が継続される事が少しでも先にわかれば、催事主催者によるリスク回避・経済萎縮を軽減でき、そのメリットを最大限発揮できます。もし社会再生がはじまれば立ち遅れることなく対応ができ、逆にコロナ禍が長引けば状況にあわせて柔軟に規模の判断が行え、蔓延防止や緊急事態宣言にもしっかり対応ができます。都としてバランスをとるのは難しいしいところだと思いますが、より良い方向性を見定めていただければいいなと思っています」

   さらにこのようなキャンセルリスクの低減は、同人誌即売会だけでなく全てのイベントの主催者から望まれていると、東京都知事に要請を行った西澤都議は訴える。

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