「両足がない選手」の金メダルに、どこか自分を重ねた 僕が東京パラリンピックで泣いた瞬間

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世界記録を出して泣いた選手

   僕が走り幅跳びに注目しているのは、小須田選手が出場しているからというのもありますが、両足のない選手が片足のある選手と戦っていることに惹きつけられたからです。片足切断のT63と両足切断のT61はクラスが違いますが、走り幅跳びは同じ土俵で戦います。

   片足があるのに比べて、両足がないのは普通に考えたらハンディキャップです。それでも東京パラリンピックの金メダルに輝いたのは、両足義足でT61クラスのヌタンド・マラング選手(南アフリカ)でした。

   マラング選手は、生まれた時に両足の膝から下に障害があって車いす生活だったけど、「義足なら歩ける」と聞いたことで、少年時代に自らの意志で足を切断することに決めたそうです。両足がないのに、片足がある選手よりも記録を出して、物凄い努力をしてきたであろうことは想像を絶します。それに、使っている義足のメーカーが僕と同じオズールなんですよ。

   最終6回目の跳躍で、マラング選手は7メートル17でトップに立ちました。世界記録を出して、泣いているんですよ。あれで僕も号泣しました。僕はパラリンピックの舞台に立ったわけではないし、アスリートでもないけど、「両足がない」という共通点があって、どこか自分を重ねて見ていたところがありました。気持ちは本人にしか分かりませんが、色々な葛藤や苦労があったのだとしたら、その中で世界の頂点に立ったのは本当にすごいこと。そんなことを考えて感動したのだと思います。

   試合はその後、優勝争いをしていたレオン・シェファー選手(ドイツ)も、マラング選手と同じくらいの大ジャンプをしました。だから抜かれているかもしれない。でもマラング選手は記録が発表される前、シェファー選手に駆け寄ってグータッチしました。お互いがお互いを称えるように。その次のダニエル・ワグナー選手(デンマーク)の跳躍の後も、マラング選手は同じようにグータッチしていました。認め合っているんですよね。

   最終的にシェファー選手が7メートル12で銀メダル、ワグナー選手が7メートル7で銅メダルという大接戦でした。誰が優勝するか分からない、最後の最後までハラハラドキドキする試合でした。

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