【連載】MUTEKI DEAD SNAKEのBUCHIAGARU!! music
俳優・松平健さん(67)が歌う「マツケンサンバII」が再び注目を集めている。2000年代前半のブームから15年以上。令和の時代に改めて脚光を浴びたきっかけは、東京オリンピックの開閉会式だ。
開会式の作曲担当が直前で降板するなどのゴタゴタから、ネット上では、五輪式典にマツケンサンバIIの起用を望む声がにわかに浮上。この「待望論」に本人もインタビュー記事で言及するなど、話題は広がりを見せた。
そもそも、なぜ私たちはマツケンサンバIIに魅了されるのだろうか。音楽作家のMUTEKI DEAD SNAKE氏に解説してもらった。
MVと一緒に楽しむ楽曲?
「マツケンサンバII」が発売された当時、僕は小学生だったのですが、子供ながらに「なんて楽しい曲なんだろう!」と思っていました。今回は、オリンピックの開閉会式をきっかけに再び話題になっているこの曲について書いていこうと思います。
◆マツケン流?サンバにBUCHIAGARU!!
こちらの楽曲、めちゃくちゃサウンドが豪華ですよね!
サンバというよりも、サンバのリズムやサウンドを取り入れたゴージャスなディスコという感じがします。
「マツケンサンバⅡ」のサンバ感の要になっているのがフルートで演奏されるイントロや、左右のパンに振り分けられているパーカッションだと思うのですが、ここにブラスやストリングスを重ねることでサウンドに重厚感を持たせています。
そしてその豪華なサウンドが、松平さんのメイクや衣装、そして積み上げてきたキャリアと化学反応を起こし、聴く人になんとも言えない多幸感を与えてくれているのだと思います。
そして、最近改めて聴き返すまで忘れていたのですが、この曲イントロめちゃくちゃ長いんですよね(注・冒頭1分以上がボーカルなしのイントロ部となる)。
「おっ、曲がはじまるぞ。」と思ったところではじまらず、まさかのワンコーラスそのままインストで進んでいくので、一瞬インストバージョンを再生したのかと勘違いしてしまいました笑
個人的にはぜひMVと一緒に聴いて欲しい楽曲だと思っています。
といいますのは、こちらの楽曲は絵と一緒に楽しむべく作られた曲なのかな?と思っているからです。
長いイントロ部分も、MVだと楽しげに踊る白塗りの男女のおかげで間延びせず楽しく見れてしまいますし、イントロで溜めて溜めてちょっと小走りで出てくる松平さんのスター感も際立ちます。
その後のカット割や細かな編集も、急にレコーディング風景が差し込まれるのも、めちゃくちゃユーモアが効いていて楽しいです!
マツケンサンバ「I」はどんな曲?
◆楽しい!が詰め込まれた歌詞にBUCHIAGARU!!
こちらの楽曲についてさらに思うのが、「マツケンサンバII」というタイトルを付けられるのすごくない?ということです。
「マツケン」と言われると、今でこそ「松平健さんか・・・いや松山ケンイチさんか、どっちだろう?」となるかもしれませんが、ブーム当時は「マツケン」といえば松平さん一択なわけです。
日本の人々の多くが「マツケン」という言葉を聞いた時に松平さんのことを思い浮かべることができる、という状況がなければ「マツケンサンバII」というタイトルを付けることは不可能なわけで、タイトルから国民的俳優であることの自負が感じられます。
そして、何を隠そうこちらの楽曲「II」なんですよね、2作目なんです!「マツケンサンバⅠ」聴いたことありますか?こちらのほうがサンバとしてのジャンル感、本家感が強いと言いますか、「II」のようなお祭りソングではありませんね。ムーディーで大人な雰囲気があります。
「Ⅰ」もいいですが、やはり「II」のとにかく楽しもうぜ!感が、やっぱり僕は大好きですねー!
歌詞を改めて見ても、やっぱり本当に意味がないんですよね。楽しい!ということだけが詰め込まれており、とにかく「マツケンサンバⅡでみんな踊ろうぜ!」ということだけが伝わってきます。
意味がないというか、意味がないことに意味があるような・・・意味がないからこそ楽しい、無心になって盛り上がれるんだと思います。
コロナ禍で暗い世の中にぴったりな遊び心満載の名曲だと思いますし、世の中で再び評価されるのも当然の流れかもしれません。ちなみに「マツケンサンバ」シリーズは現在4作目まで出ているそうなので、興味がある方はぜひ聴いてみてください!