「日本酒」を売らねばならない
このように旭酒造が獺祭エタノールを販売するのは、酒米・山田錦を残すため。桜井さんは「清酒の製造量が落ち込んでいることについては、私たち酒造が販売努力をしていかなければ」と意気込む。
「コロナによって自分たちの弱みも見えてきました。日本酒がコロナで厳しかったことのひとつに業務用の比重が大きかったことがあります。さらに他のアルコールと比べて『家飲み』に適応できなかったことがあると思います」
桜井さんによれば、旭酒造では7割ほどの清酒を飲酒店などに業務用として販売していたという。しかし緊急事態宣言の影響で、飲食店でアルコールを提供できない状況が続き業務用清酒の売り上げは厳しくなっている。
桜井さんは、消費者が何を望んでいるか改めて見直していくとしている。
「コロナ禍によって飲食店でも、家飲みでもみんなで楽しみながら飲むという場面は減っていると思います。しかしお酒を飲む階数が減った分、一回一回が大切な場面になってくると思います。そこに応えるお酒を造っていく。もしかしたら1年に1回しか楽しく飲むようなことができなくなってしまっても、『やっぱり獺祭っておいしいな』って思ってもらえるよう、よりおいしいものを作っていく。
私たちのお酒を求めるお客さんは、どのようにお酒を楽しみたいのか。お客さんを見ながら、品質を含めもう一回全部、考えていきます。そのためにあらゆるリソースをつぎ込んでいます」
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)