ゲームにはプレイヤーの「偏愛」「狂気」がこもっている
2020年3月にテレビ東京を退社した田口さんはフリーアナウンサーとしての仕事やアニメビジネスに携わる他に、早稲田大学ビジネススクールで経営学修士(MBA)の取得を目指して学んでいる。MBAと実況の意外な接点も見つかったという。
――MBA取得を目指した動機はなんでしょうか?
僕が好きなゲームやアニメのカルチャーをもっと世界に広げたい、そのためにビジネス面から橋渡しをする土台にできればと考えてのことでした。面白いことにマーケティングで学んだ「いかに顧客の気を引くか」の論理が実況にも活かせるんですよ。視聴者がどんなことを聴きたがっていてどういう言葉選びをすれば受けるのか、選んだ言葉と反応をグラフ化することもできるんだと知りました。
――動画サービスの普及とともに成長してきたゲーム実況ですが、田口さんのように「本職」の方も加わってカルチャーとしてさらに大きくなる可能性があるのですね。
すべてのゲームは面白く見せることができます。ゲームプレイの体験自体ももちろん面白いのですが、ウマ娘にしろリングフィットにしろ、プレイする人の「偏愛」「狂気」のようなものがプレイ風景や結果に凝縮されていると思っていて。
「なぜそれ程までに極めようとするのか」「なぜそんな遊び方を」という視聴者側の突っ込みポイントに応えつつ、プレイヤーが込めた情熱を理解して感動に昇華させられるのが実況者の冥利だと思います。大言壮語かもしれませんが「実況ひとつでどんなゲームも感動にまで持っていける」と思っているので、どんな実況にも挑戦してみたいですね。