「本職」の経験を活かし、仕事でも趣味でもゲーム実況というカルチャーを盛り上げているのが、フリーアナウンサーの田口尚平さん(30)だ。
最近は「ウマ娘 プリティダービー」のフリーダムな実況動画や、イベント「リングフィットRTA」での"パワーワード"だらけの実況で注目を集めた。田口さんに実況の極意や醍醐味を聞いた。
(聞き手・構成 J-CASTニュース編集部 大宮 高史)
「本家」に実況があるのになぜ?
田口さんは2015年にテレビ東京にアナウンサーとして入社し、スポーツやイベントでの実況業務などに携わった。2020年3月31日付けで退社し、以降はフリーアナウンサーとして活動中だ。
現在はeスポーツイベントなどでのオフィシャルな実況だけでなく、自身のYouTubeチャンネルでのユニークなゲーム実況で知名度を上げている。例えばゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」でゲーム内のレース動画に独自に実況を付けた動画が人気を得ている。「私(わたくし)の愛馬」「全国のお兄様お姉様」といったパワーワードや情感にあふれた実況がプレイヤーからも好評だ。
――「ウマ娘」実況がゲームプレイヤーにも好評ですが、そもそもゲーム内のレースに既に実況がついています。「本家」の実況とはどんな違いを出そうとしましたか?
僕自身、ゲーム実況が中学時代から好きでした。私の動画ではガチ実況と呼んでいるのですが、本職としてのスキルを活かしてゲーム実況をやってみたら面白いのではないかと。やはり実況アナウンサーにしか出せない熱量を出せるだろうと思って、まずアニメ第1期の動画に実況をつけてみるところから始めました。
ゲームの実況も素晴らしいのですが、生のガチ実況にしか出せない熱量があると思っていて、特にその場その場でのパワーワードを生み出せるのがガチ実況のポイントです。
――局アナ時代もスポーツ、その中で競馬の実況も担当されていたそうですが、ゲーム実況とはどんなところに違いが?
競馬・サッカー・野球・柔道などで局アナとして実況を担当していた時は、正確無比であることを何よりも優先していました。メインは競技であってその経過・結果を伝えるのが第一の仕事で、ひいきをするなどはできません。
しかしゲーム実況の場合は中立的な立場を離れてある程度色をつけることもできます。例えばウマ娘のガチ実況ならば主役はもちろんウマ娘なんですが、それに華を添えるというか、表現一つでウマ娘の魅力を伝えられるのが魅力だと思いますね。思い切りえこひいきして「可愛い!」と伝えることもできています。