暴力行為によって無期限の出場停止を科せられた中田翔が、日本ハムから無償トレードで巨人に移籍した。シーズン途中の放出について賛否両論の意見があるが、球団フロントはチームに残しておくべきではないと判断したのだろう。
戦力面で言えば、長年4番を打ってきた中田の移籍は大きな痛手だ。ただ若手にとってはレギュラー獲りの大きなチャンスともいえる。その中で、球界を代表する長距離砲がファーム暮らしでくすぶっている。清宮幸太郎だ。
清宮は「打てるポイントが限られている」
「練習熱心ですし、野球に対する姿勢に問題があるわけではない。ハングリー精神が足りないと言われていますが、今の若い子供たちは闘志を全面に出すタイプの方が少ないし、それが致命的な問題ではない。清宮の課題は打てるポイントが限られていることです。
高校時代はもっと幅広いゾーンを打っていた印象でしたが、今はインコースがさばけず、アウトコースも体が開いてしまって高い確率で凡退する。ツボにはまれば長打が出るが、その確率が低い。
最下位に低迷するチーム事情なので、ファームで結果を残せば1軍に昇格できるチャンスが広がっているのですが、清宮は今年1軍に一度も上がってない。このままでは正直厳しいです」(スポーツ紙記者)
高卒4年目。期待だけで起用される時期は過ぎている。昨年は96試合出場で打率.196、7本塁打、22打点。チームに貢献したとは言い難い成績だったが、開幕からシーズン終盤までファームに降格することがなかった。
今年は違う。オープン戦13試合出場で打率.167、0本塁打と結果を残せず、故障以外では初の開幕2軍スタートになった。
同期・村上は球界を代表する長距離砲に
清宮は9月3日現在、イースタンで打率.196、15本塁打、47打点の成績を残している。本塁打、打点はチームトップだが、2割を切る打率で課題とされている確実性が向上していない。
プロは結果がすべての世界だ。同期入団のヤクルト・村上宗隆は球界を代表する長距離砲となり、東京五輪の金メダルにも貢献。大きく水を開けられた。
「和製ベーブ・ルース」と形容された清宮はこのまま終わってしまうのか。まだ22歳と捉えるか、もう22歳と危機感を抱くか。残された時間はそう多くない。