デジタル庁発足で就任したばかりの石倉洋子デジタル監(72)の個人サイトに、有料素材サイトのサンプルなどからの無断転載が複数見つかり、石倉氏がツイッターで謝罪する事態になった。
石倉氏は、「全く私の不注意」だったと釈明したが、ネット上では、著作権への認識が甘いのではないかとの指摘が出ている。
無断転載のあったブログでは、IT習得の悪戦苦闘ぶりをリポート
石倉氏の公式サイトによると、米名門ハーバード・ビジネス・スクールで経営学博士(DBA)を取得し、業界トップのマッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社で経営戦略などのコンサルティングを手がけて、マネジャーまで昇進した。
この経歴が買われて、資生堂など大手企業の社外取締役を次々に務め、教職も経験して、一橋大学名誉教授になっている。
ただ、ITの知識については、サイト内のブログでも、勉強中だと明かし、その悪戦苦闘ぶりを自らリポートしている。
ネットメディアからの無断転載とみられる画像が載った2021年2月3日付「どうなることかと、真っ青!」では、ノートパソコンMac BookのOSを更新した後、ファイルなどにアクセスできなくなり、ついに画面は真っ暗になって、途方に暮れたと明かす。そして、アップルストアに行って、スタッフにリセットしてもらってようやく解決したという。スタッフには、バックアップファイルの作り方を教えてもらい、「まだ新しいOSについては色々研究しなくては。。。」と漏らしていた。
有料画像素材サイトPIXTAからの無断転載があった2月22日付「書類の山と格闘中」でも、「OSを更新したため、プリンターの一つが働かなくなってしまい、四苦八苦」「この機会にエクセルをマスターするという目標は道半ばです!」などと報告していた。
無断転載とみられるケースは他に、米Shutterstockのサイトからの画像が1月17日付ブログにあり、PIXTAのケースも7月9日にまた見つかった。いずれも、画像に「PIXTA」などのロゴや透かしが入っていて、サイズの小さい低画質のものを使っていることなどからサンプル使用が発覚した。
デジタル庁は謝罪も、石倉氏の処分などに言及なく
PIXTAでは、公式サイト上の「よくある質問」コーナーで、購入前に参考にするサンプルについて、ウェブサイトなどの本使用には利用できないとして、「無断使用など不正な使用が発覚した場合は著作権侵害および規約違反となり、別途賠償金・違約金などが発生いたしますので、十分にご注意ください」と警告している。
石倉氏の無断転用が9月3日、まとめサイトなどを通じて大きな話題になると、PIXTAの事業責任者は同日、石倉氏のツイッターアカウントに向けてリプライを送った。「石倉様の公式サイトでPIXTAの透かしが入った画像利用を複数確認しました」と指摘し、利用規約違反だとして、石倉氏が連絡するように呼びかけた。
また、デジタル庁の窓口にも連絡したとし、「僕も先日の会見の文字起こしを拝見して、期待感とともに応援したい気持ちだったのですが、こればかりは... 適切な画像利用について、まだまだ必要な知識が行き届いていないと感じております」と苦言を呈した。
これに対し、石倉氏は3日、「全く私の不注意でした。お詫びします。大変申し訳ありませんでした。至急対応いたします」とPIXTAの事業責任者に向けてツイッターで謝罪した。
その後、公式サイトは、英語でメンテナンス中との表示が出て、その後に「当ブログの画像について著作権に関するご指摘を頂いたため、当ブログを一旦閉鎖しております」との日本語の案内が出た。石倉氏のツイッターも、一時非公開状態になった。
石倉氏は3日、報道陣とのグループインタビューで「普通はどこでも使えるようなフリーイラストを使うが、急いでやったやつがいくつか引っかかってしまった」などと説明したと報じられている。
デジタル庁の広報担当者は3日、J-CASTニュースのメールでの取材に対し、次のようにコメントした。
「ご指摘の状況については認識しております。現在、石倉デジタル監にて、急ぎ対応中(対応のため石倉氏の個人サイトを一時停止している)と聞いております。(デジタル庁としてもご指摘いただいたピクスタ様に、その旨ご連絡差し上げております) このたびはお騒がせ致しまして、申し訳ございません。デジタル庁としても、今後、再発防止に取り組んでまいります」
ただ、著作権への認識が甘かったことはないのか、石倉氏の処分などは考えているのかについては、回答はなかった。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)