「私がもし総理であれば」 高市早苗氏が総裁選で打ち出す「危機管理」の政策とは【インタビュー】

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コロナ対策では治療薬やワクチンの国産化、宿泊施設の確保目指す

   ―― 新型コロナへの対応も「危機管理」に含まれますね。

高市: マスクをかけるのも手洗いするのもワクチンを打つのも大事。それは進めてもらったらいいんですが、一番大事なのは重症者数を極小化する、死亡者数を極小化することです。そのためには、初期に治療薬を使って治療するしかありません。
   だから、感染したと分かったら、すぐに抗体カクテル療法を地元の身近なところでできるようにしてくれ、と8月の上旬からずっと厚生労働省にメールや電話で言い続けてきました。点滴だから、どうしても厚労省は、ベッドのある感染症対応病院もしくは医師が常駐していて、しかも地方自治体が認可した宿泊利用者に限定していました。言い続けた成果なのかもしれませんが、ようやく他の一般病院、総合病院でも打てるようになりつつあります。
   感染者とそれ以外で動線を分けて個室で点滴をして、その後24時間ぐらい経過観察する必要があるので、どこか宿泊施設で経過を見る。その移送手段も必要ですよね。では「宿泊施設どうするんだ」、ということですが、国が管理している施設はたくさんあります。20年1月に安倍総理からのご指示で、各役所の持っている宿泊型の研修施設の一覧表を出したことがあります。例えば「なんとか大学校」の類です。こういった対応をできるだけ軽症のうちにやったら、中等症(への対応)。中等症になったらレムデシビルがありますが、これもできるだけ身近なところで打てるようにします。
   ただ、抗体カクテルもレムデシビルも国産ではないのが一番の問題です。例えば抗体カクテル療法の点滴薬は米リジェネロン社が開発しましたが、提携先のスイスのロシュが販売権、開発権、生産権を持っています。ロシュの子会社が中外製薬です(国内での開発・販売権は中外製薬が持っている)。中外製薬が、もうちょっと強く親会社に交渉して国内でどんどん生産してくれと(求めた上で)、その代わり設備投資のお金は国が出す、という形にしていかないと...。これ(供給量)を厚生労働省に問い合わせても分からないんですよ。今、世界中から需要があるのか、「何とか数の確保に努めています」という答えしか返ってきません。

   ―― 中外製薬も、政府との契約上の守秘義務を理由に、供給量を明らかにしていません。

高市: なので、今一体どれだけの在庫が国内にあるのか、それぐらい正直に政府が発表した方がいいですね。感染症について言えば、今はコロナのことでみんな頭いっぱいですが、私はもっと怖いと思っているのはエボラ出血熱。死に至るまでの時間も非常に短いので、こういうものが入ってきたときのことを考えると、(1)治療薬やワクチンの国産(2)いざとなったときに宿泊施設に行って真っ先に治療を受けられるようにして、自宅療養患者をゼロ人にする、といった形は今整えておいても損はない。もう、やることはいっぱいあります。

   ―― 様々な分野にわたる、危機管理に関係する政策についてお話しいただきました。確認ですが、総裁選では「危機管理」について重点的に打ち出すと理解すればいいですか。

高市: そうですね。ただ、「危機管理=成長投資」なので、世界が直面する同じような課題について日本はいち早く危機管理投資をし、製品やサービス、技術を生み出してそれを世界に展開していく。繰り返しになりますが「危機管理投資=成長投資」なので、国費を投じても必ず税金で返ってくるものだと思います。日本ではその基礎的な技術要素はいっぱいありますが、それらはうまく生かされていない。それはもったいない話ですね。だから私は国民の皆さんの命を守るということと、領土・領海・領空、資源を守るということ、国家の主権と名誉を守るということ、国の究極使命をなんとしても果たせる体制を作りたい。この一心でございます。
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