朝日新聞出版のウェブメディア「AERA dot.」が、東京都墨田区の女子高生死体遺棄容疑で逮捕された夫婦の趣味を強調する見出しの記事を配信したことを受け、NPO法人バーチャルライツ(千葉県印西市)は1日、「個人の趣味趣向に対する差別を扇動する」として「緊急声明」を公表した。
朝日新聞出版はJ-CASTニュースの取材に対し、「読者に誤解を与えかねない」という指摘を受け、見出しを変更したと答えた。
「抗議メール」送付のVTuberも
AERA dot.は9月1日、「『バ美肉』アニメ好きの20代新婚夫婦が女子高生を『殺害』した仰天の動機」と題した記事を公開。東京都墨田区の女子高生が殺害された事件で、逮捕された群馬県の夫婦について取り上げた内容だ。記事では夫婦がアニメ好きで、美少女のアバターに自身を"受肉"させる「バ美肉」を趣味にしていることなどが触れられている。
これを受け、VR(仮想現実)文化の表現の自由とプライバシー保護を行うバーチャルライツは1日、ツイッター上で「緊急声明」を公表。記事について「社会的に注目されている事件であるだけに見出しがセンセーショナルになりやすいという事情は理解しております」としながら、
「上記のAERA dot.での記述はアニメ・バ美肉と犯罪に関連があるかのような印象を読者に与えるものであり、個人の趣味趣向に対する差別を扇動するだけでなく、自己表現の形としての性の多様性を侵害するものだと考えております」
と抗議した。同団体は報道に対する意見公募も実施した。
また、VTuberの「バーチャル美少女ねむ」さんは1日、自身のnoteで「バ美肉が殺人動機と誤読させ、界隈のイメージを下げ関係者を傷つける極めて悪質なタイトル」と記事を批判。朝日新聞出版に記事の修正と謝罪文を求めるメールを送ったことを報告した。
AERA dot.は2日、記事の見出しを『「バ美肉」アニメ好きの20代新婚夫婦が女子高生を「殺害」した仰天の動機』から『「バ美肉」、アニメ好きの20代新婚夫婦が女子高生を「殺害」した仰天の動機』に修正し、その後「バ美肉」「アニメ」の箇所を削除した。
今回の声明について朝日新聞出版は2日、J-CASTニュースの取材に対し「記事は重大事件の容疑者の人となりに迫ろうとしたものであり、趣味と容疑とを関連づけるものではありません」と説明。その上で「読者に誤解を与えかねないとのご指摘」を受け、見出しの『「バ美肉」、アニメ好きの』を削除したとした。
記事末尾にも削除した旨が追記され、「お詫びして訂正します」と謝罪した。