観客が密状態で開催され、批判が相次いでいるヒップホップ系野外フェス「NAMIMONOGATARI2021(波物語)」で、主催者が観客に発声を控えるよう注意喚起していたとする一方、一部出演者が観客を煽って声を出させるようなパフォーマンスをしていたのではないかとして、インターネット上で物議を醸している。
「声を発しての鑑賞はご遠慮ください」などの注意喚起
「波物語」は2021年8月29日に愛知県常滑市のAichi Sky Expoで開催。新型コロナウイルス感染拡大が続く中、一部観客が密集したり、マスク未着用だったりしたとしてツイッターなどで批判が殺到した。主催者のoffice keef(名古屋市)は翌30日、「お詫びと経緯のご説明」と題した文書をイベント公式サイトに公開し、会場では感染対策をしていた旨を説明している。
文書によると来場者は8000人超。それでも、客に対しては会場のメイン大型画面に「声を発しての鑑賞はご遠慮ください」などの注意喚起文をナレーション付きで表示し、出演者についても「しっかりと感染予防対策にご協力して頂いていた」という。
だが、出演者がステージ上で観客を煽って声を出させるようなパフォーマンスをする動画が、インスタグラムやツイッターに複数投稿されている。MC TYSONさんは自身のインスタグラムに、「波物語」出演時にステージ後方から撮影した動画を公開。歌詞の一部を変えて「聞かせろ!」と煽った後で客席にマイクを向け、観客が声を合わせて曲の続きを歌う一幕が含まれていた。
Leon Fanourakisさん出演時、客席側から撮影された動画もある。フェス参加者の投稿とみられ、曲のイントロで「皆で歌ってくれよ! みんなで! いくよ!」と出演者自身が客に呼びかけると、客が実際に声を出して一緒に歌っていた。
客席側から撮影された5人組女性ダンス&ボーカルグループ・FAKYの動画も拡散。メンバーの1人が「皆さん! 声出せますかー!」と呼びかけ、他のメンバーらもマイクを客席に向ける。メンバーが「エビバディ セイ イェー!!」「もっと!イェー!!」と煽ると、観客は「イェー!!」とシャウト。メンバーによる「もっといける」との声も入っていた。
少なくともこうした動画を見る範囲では、前出の注意喚起の効果は一部観客に対して乏しく、さらに一部出演者についても、感染対策を徹底する意識が足りなかったのではないかとして、ツイッターでは批判の声が相次いだ。
「観客もルールは守れよって思うけど出演者側もルール分かってんだから煽る行為すんなよ」
「今までの皆の自粛なんだったのレベルのやり方。出演者擁護してるけど、声出させるように煽ってるのアウトだと思うけど」
「HIPHOP系の野外フェス『波物語』では、出演者が参加者に声出しの応答を求める場面も。盛り上がりたいのは十分過ぎるほどわかるけれど、フェス運営者だけでなく出演者も感染対策や新型コロナウイルスについて無自覚過ぎると思う」