2021年8月30日に放送されたドラマ「ナイト・ドクター」(フジテレビ系)第9話では、ドナー登録をめぐるエピソードが描かれた。そのテーマが、視聴者の間で「改めて考えさせられた」などと反響を呼んでいる。
妹のドナー登録に兄は大反対
ドラマの舞台は、365日24時間どんな患者も断らない医療を目指す「あさひ海浜病院」が立ち上げた夜間勤務専門の救命医チーム「ナイト・ドクター」。
医師6年目の主人公・朝倉美月(波瑠さん)は、そこで熱い意思を持って働き始め、チームで出会った深澤新(岸さん)、成瀬暁人(田中圭さん)、桜庭瞬(北村匠海さん)、高岡幸保(岡崎紗絵さん)という年齢も性格も価値観もバラバラな5人の医師とともに、医療や人生を見つめていくというストーリーだ。
※以下、一部ネタバレを含みます※
深澤の妹・心美(原菜乃華さん)は身体が弱く入院しがち。数年前に両親を失ってから、兄妹の二人三脚で生活をし、また闘病していた。
そんな心美はある日、深澤に対し「ドナーになりたい」との旨を伝えるが、深澤は「身体にメスを入れられて、お前の代わりにほかの誰かが生きるなんて...」と大反対。その会話を聞いていた朝倉と桜庭は複雑そうな表情を浮かべる。
実は、朝倉の亡くなった母はドナーとして臓器提供者であり、また桜庭は14歳のころ「レシピエント」として臓器提供を受けた過去があったのだ。
それぞれの立場から見たドナー問題
そんな桜庭は、自身の過去を深澤に告白。朝倉とともに、一度心美ときちんと話すようアドバイス。深澤が心美の病室を訪ねると、心美は
「自分のために、少しでも誰かの役に立ちたかった」
「(こんな自分でも)堂々と生きていきたいから、これ(ドナーカード)を書いたんだよ」
と自分も救急医である兄と同じように人助けができると思うようになったと説明。これに深澤は心美の意思を尊重したいと考えを変え、気持ちの踏ん切りがつかないまでもカードに同意のサインを書く。
そんな複雑な思いを抱く深澤に対し、朝倉は「参考になるかわかんないんだけど...」と切り出すと、
「亡くなったときはお母さんの意思を尊重してお父さんと承諾書にサインしたけど、実際に提供し終えたお母さんと対面したらホントにそれで正しかったのかなってわからなくなった」
と当時の心境を振り返りつつ、「でも今もどこかで元気に生きている、そう思ったら悲しかったはずの過去がほんの少しずつ変わっていった」「このカードを残してくれたお母さんに、今は一番ありがとうって伝えたい」と思いを告白するのだった。
「ドラマ後も娘と臓器提供について話した。いい機会が持てました」
ドナーとして臓器を提供する側とされる側。それぞれの立場から描かれたエピソードに対し、視聴者からは
「心美ちゃんの考えも素晴らしいけど、深澤先生の気持ちも分かる... ドナー問題難しいな」
「答えがひとつじゃないなぁと観てて思った。ドナーについて、5人いれば5通りの答えがある」
「私中学生のときに臓器提供カード書いてお母さんに渡したらめちゃくちゃ怒られたなー 今自分が親になったけどなんか気持ちわかるもの」
「ただ灰になるなら医学のために役立てて欲しいというけど私はその時がきたら正直自信がない... 今日の回で改めて色々考えた」
「臓器移植という重大なテーマでおいそれと軽くは語れないけど、自分も今一度しっかり考えたいと思います。 自分の意志と家族の同意。 家族会議が必要ですね」
「臓器提供するのが正しいとかではなくて『私はしたい』『私はしない』の意思表示を、思ってるだけではなく言葉にして家族に伝えておく(カード記入も含め)ことが大切なんですね。 ドラマ後も娘と臓器提供について話した。いい機会が持てました。 ありがとう」
「苦しいお話だったかもしれないけど、命の重みについて考えさせられた」
などと改めて考えさせられたとの声が多くあがっている。