内閣支持率の低迷が続く中、立憲民主党の枝野幸男代表がラジオ番組で、党の世論調査の結果を根拠に「十分に政権が変わる可能性がある」として、政権交代に自信を見せた。
ただ、2021年8月31日の定例会見で具体的内容について質問されると、枝野氏は「まさに一番の部外秘」だとして説明を避けた。選挙戦略を話すことは「敵に手の内を明かすことになる」というのが枝野氏の持論で、ラジオの発言から慎重姿勢に一転した形だ。
「世論調査の数字の見方が、政治状況の変化で変わってきている」
枝野氏が衆院選勝利の見通しを示したのは、8月28日朝放送の「鶴蒔靖夫の話のキャッチボール」(ラジオ日本)。内閣支持率の低迷が続く一方で、野党の支持率も伸び悩んでいることを司会者に指摘され、枝野氏は
「ちょっと世論調査の数字の見方が、政治状況の変化で変わってきていると思う」
と応じた。その具体例として、21年4月の参院長野選挙区補欠選、広島選挙区再選挙、衆院北海道2区補選と8月の横浜市長選を例に挙げた。枝野氏によると、これらの選挙は「こちら側が勝つはずのない政党支持率の力関係」だが、いずれも野党側の候補者が勝利している。
枝野氏は「メディアがやる世論調査の数字には出てきていない、いろんな要素を分析しなきゃならない」と述べた上で、報道各社が行っている世論調査は全国で1000サンプル程度なのに対して、立憲では、ひとつの小選挙区で1000サンプルを対象に世論調査を行っているとして、
「十分に政権が変わる可能性があるという結果が、我々の手元にはある」
と述べた。
現場は「町の空気が全然違う」「こんなもの10年以上ぶりに感じている」
さらに、現場で活動するメンバーが追い風を実感していることも紹介した。
「実際に細かく調査をすると、そういう(立憲に期待する)声が調査に反応してくると思っているし、地域で地道に活動し続けている仲間は、『町の空気が全然違う』『こんなもの10年以上ぶりに感じている』(と言っている)。見かけは与党に対する逆風だが、ちゃんと地域で活動してきている仲間のところには追い風が間違いなく吹いている。これをちゃんと生かせるように、期待に応えられるように、選挙までに準備を整えていきたい」
ただ、8月31日の定例会見では一転、詳細について言及を避けた。記者の
「事実であれば朗報だが、具体的にどのような調査なのか」
という質問には、「あの、各党、まぁ、ほとんどの政党が世論調査をやってると思いますが、まさに一番の部外秘ですので、その具体的なことを話せるはずがありません」。
選挙は「国民に対して何を訴えるか」ではないのか
さらに、「どういった姿勢が政策的に期待されたと考えるか」という質問にも、「その分析も、まさに選挙戦略そのもの」だとして回答しなかった。枝野氏は、具体的な選挙戦略については「敵に手の内を明かすことになる」というのが持論だ。
別の記者からは、この持論を念頭に、
「選挙は自民党と戦うものだと思うが、国民に対して何を訴えるか、が主なのではないか」
という指摘も出た。枝野氏は「ご指摘の通りだと思う」と応じたが、
「選挙の時に具体的に選挙政策、政権政策として出すということについては相手も見ながらやっていかなければならないが、『政権を取ったら何をやるか』というのは、この間、私を含めて党としてかなり明確に発信をして説明をしている」
と一部反論。ネット番組や記者会見、国会の論戦などで多く発信しているとして、
「ぜひ報道機関の皆さん、国民の皆さんに伝わるようにたくさん報道してください。よろしくお願いします」
などと幅広い報道を求めた。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)