プロ野球・北海道日本ハムファイターズは2021年8月31日、チームに所属していた中田翔選手(現:巨人)の暴力問題と、チームの円陣を映した動画に収録されていた差別的発言について、お詫びの文書を公式サイトに掲載した。
川村浩二代表取締役社長は「皆様にご不快な思いやご心配をお掛けしまして、誠に申し訳ありません」と2つの問題について謝罪。「今回の一連の件に関して、皆様からの数多くのご意見を頂戴し、真摯に受け止めております」と伝えた。
中田の暴力問題「退団前に皆様への謝罪・説明の機会を設けるべきでした」
中田選手は8月4日、DeNAとのエキシビションマッチの試合開始前にチームメイト一人に対し暴力行為に及んだ。同月11日から「当面の間の一軍・ファーム全試合における出場停止処分」が下されたものの、20日に巨人へ移籍。翌日から一軍の試合にも出場し、22日にはホームランを放っている。
川村社長は文書の中で、「2018年シーズン終盤に、残留を求める数多くの皆様からのご声援を受けて3年契約を締結するに至ったにもかかわらず、その最終年度途中に、皆様に対して『ファイターズの中田翔』としての声を発する機会を設けぬままの退団となってしまい、皆様を失望させてしまったことを、深くお詫び申し上げます」と中田選手の退団について謝罪した。
中田選手は巨人移籍時に会見を開き、日本ハム時代の暴力問題について謝罪した。しかし、暴力行為に及んだ日本ハム所属時には会見を開かず、ファンから疑問の声があがっていた。これについて川村社長は「当球団ではトレード時の一般的な慣行に従い、今月20日に中田選手のコメントを公表し、移籍前の会見は控えさせて頂きました」と説明。その上で、
「しかしながら中田選手に『当面の間、一軍・ファーム全ての試合の出場停止処分』を通達しており、退団により当該処分を解除する手続きとなる以上、退団前に皆様への謝罪・説明の機会を設けるべきでした」
と振り返った。
円陣動画は「確認が至らないまま」公開
中田選手の暴力問題に揺れていた8月中旬には、球団公式ツイッターが4月11日に投稿した、チームの「円陣動画」が物議を醸した。
コンゴ出身の父を持つ万波中正選手が声出し役を務めた円陣では、チームメイトとみられる人物が「日サロ(日焼けサロン)行きすぎだろお前」と発言。これが人種差別的発言だと、ネット上で批判を浴びていた。球団は8月18日に「誤解を招く可能性」があるとして、投稿を削除していた。
川村社長は円陣動画の内容について「差別的発言が収録されていたことを心よりお詫び申し上げます」と謝罪。その上で「差別的発言は、どのような状況、どのような間柄であっても、決して許されるものではありません。円陣内の個別発言について確認が至らないまま球団公式ツイッターでそのシーンを公開したことは、当球団の管理体制が不十分でした」と振り返った。
今後は「監督、コーチ、選手、その他役職員を含む全てのチーム関係者に対してコンプライアンス研修等を実施するとともに管理体制を強化し、再発防止を徹底して参ります」とした。
川村社長は「当球団内でこのような問題が立て続けに起きてしまったことについて、皆様に心より謝罪申し上げます」と改めて謝罪。その上で、次のような姿勢を示した。
「今回の一連の問題を真摯に受け止め、暴力及び差別がどのような状況でも許されないことは当然のこととして、同じチームに所属する者同士が、年齢や成績や肩書等に関係なく、互いに相手を尊重し、1つのチームとして一致団結し、皆様に応援していただけるような試合とプレーをお見せすること、そのために全力を尽くすことを、改めて、監督、コーチ、選手その他役職員を含む全てのチーム関係者において徹底して参ります」
「当球団として『ファンサービスファースト』の原点に今一度立ち返り、皆様から愛される球団を目指して、活動を見つめなおして参りますので、何卒よろしくお願い申し上げます」とした」