「SKE48はどうなってしまうんだろう」 松井珠理奈が卒業した時、後輩たちが思ったこと【須田亜香里・林美澪・井上瑠夏インタビュー】

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【「新生SKE48」須田亜香里・林美澪・井上瑠夏インタビュー(2)】

   SKE48で唯一の1期生だった松井珠理奈さん(24)が卒業してから、まもなく4か月。新曲「あの頃の君を見つけた」(2021年9月1日発売)では、20年に劇場デビューしたばかりの10期生で、AKB48グループで最年少の林美澪(はやし・みれい)さん(12)がセンターポジションに起用され、「新生SKE48」の姿が少しずつ見えてきた。

   林さん、8期生の井上瑠夏(いのうえ・るか)さん(20)、3期生でSKE48最年長の須田亜香里さん(29)に、「珠理奈卒業後」のSKE48について聞いた。須田さんは10月31日には30歳の誕生日を迎え、卒業の時期も焦点だ。卒業後を見据えた活動への思いも聞いた。取材は7月中旬に行った。(聞き手・構成:J-CASTニュース編集部 工藤博司)

  • 新曲「あの頃の君を見つけた」の振り付け「思い出フィルターダンス」のポーズを取るSKE48のメンバー。左から井上瑠夏(いのうえ・るか)さん、林美澪(はやし・みれい)さん、須田亜香里さん
    新曲「あの頃の君を見つけた」の振り付け「思い出フィルターダンス」のポーズを取るSKE48のメンバー。左から井上瑠夏(いのうえ・るか)さん、林美澪(はやし・みれい)さん、須田亜香里さん
  • 新曲「あの頃の君を見つけた」の振り付け「思い出フィルターダンス」のポーズを取るSKE48のメンバー。左から井上瑠夏(いのうえ・るか)さん、林美澪(はやし・みれい)さん、須田亜香里さん

珠理奈からチャンスもらって「絶対に無駄にしてはいけないという気持ち」

―― さて、松井珠理奈さんが21年4月末にグループを卒業して、3か月が立ちました。SKE48の運営会社「ゼスト」の親会社「KeyHolder」(キーホルダー)は、投資家向けの説明(IR)で、「松井珠理奈の卒業をもって一つの節目を迎えるSKE48をリブランディング。『新生SKE48』へ」と掲げています。卒業で、グループにはどんな変化がありましたか。例えば「『珠理奈卒業後のSKE48』は、こう頑張ろう」といった動きはありますか。

須田: メンバー1人1人の思いのようなものは、芽生えたものもあると実感しています。(珠理奈さんは)私にとっても追いかけ続けてきた存在で、「松井珠理奈のいないSKE48」というものは誰も見たことがないものだったので、「どうなってしまうんだろう」という思いは内部にいてもありましたし、その(卒業の)日を迎えるのはやっぱり緊張しました。卒業後は、1人1人がたくさん珠理奈ちゃんから受け継いだものや、見て学んだものを、より大切に発揮していけるような意気込みを持って活動できているという実感があります。1人1人がどんどん成長していて、頼もしい後輩がすごく増えたので、最年長の私が引っ張らなくても、みんなが一緒にSKE48を引っ張る一員として同じ速度で走っている実感があるので、すごくメンバーが頼もしいです。

―― 「後輩が頼もしい」という点、もう少しうかがいます。前作のカップリング曲には、珠理奈さんがプロデュースした新ユニット「Black Pearl」(ブラックパール)の楽曲が収録されました。9人いるメンバーに林さんと井上さんも選ばれたわけですが、その中でいろいろと珠理奈さんから指導されたこともあると思います。今後、どんな形で生かせそうですか。

林: 「Black Pearl」の楽曲が初めてのMV撮影で、リップシーンなど本当にわからないことだらけでした。本当に緊張していて、表情も固まってしまうことが多かったのですが、目線や表情の作り方を教えてくださったことが、今でも印象に残っています。それを今回の表題曲のリップシーンで少し使えたんじゃないかなと思います。

―― ノウハウが生かせたわけですね。井上さんは、4月11日に行われた珠理奈さんの卒業コンサート後に配信された番組で、

「『頑張ってね』じゃなくて『一緒に頑張ろうね』と言ってくださったのが、すごく心強くて...。すごくうれしかったです。そのひとことが」
と話していました。こういった点が支えになったわけですね。

井上: 珠理奈さんの卒業コンサートで「Dear J」、4月29日の卒業公演で「夜風の仕業」をソロで歌ったときは、めちゃくちゃ不安でした。珠理奈さんの卒業コンサートだから、ファンの方は珠理奈さんのことを一番見たいだろうと思ったからです。「Dear J」をするときに珠理奈さんから「一緒に頑張ろう」「絶対大丈夫だから」と言ってもらえたのが支えになりました。本番後に「なんて言われるんだろう」とソワソワしてたら、こっちに来てくれて「めっちゃかっこよかった」とグーサインしてくれました。初めて珠理奈さんに褒められたのがそのときで、初めて自信を少し持てました。

―― その自信は、今後の活動につながりそうですか。

井上: 珠理奈さんがたくさんチャンスをくださって自信につながった分、それを絶対に無駄にしてはいけないという気持ちがあります。「いい経験だったな」で終わるのではなく、それを次につなげるのは自分自身です。珠理奈さんみたいになれなくても、全力でいつでもどこでも踊ることはできます。今までチームのエースといえば珠理奈さんでしたが、すごく大きな存在の珠理奈さんがいなくなってしまって、これからのチームのエースについて「パフォーマンスで見せていこう」といった話し合いをすることもあります。言葉も大事ですが、「言葉より行動」というか、気持ちをパフォーマンスに乗せて、今の勢いを新曲の勢いに乗せて、もっともっと自分自身をパワーアップできるように頑張りたい気持ちでいます。

私という人間に価値を感じてくれたから会いに来てくれていた

この1年間でのSKE48での活動についても話を聞いた
この1年間でのSKE48での活動についても話を聞いた

―― この1年半ほど、コロナ禍でグループの活動は大きな影響を受けています。特に、握手会ができない状態が続き、ファンとのコミュニケーションも大きく制限された状態です。SKE48では、20年7月に「メンバーから一定の距離を(4m前後を想定)おいた場所に、お客様専用のタブレットを設置」した状態で会話する「現地でオンライントーク会」が始まり、10月には「2.5m 程度の距離を空け飛沫防止シートが設置された状態」で、直接会話できる「現地でトーク会」にバージョンアップされました。AKB48では、完全リモートの「オンラインお話し会」が行われています。やはり、タブレット端末越しと直接話すのとでは、かなり違いますか。

須田: やっぱり肉眼で人の顔が見えるのは、リモートとは全然違いましたね。もちろんリモートで話すのも新しいと思いましたし、なかなか会いに来られない方や、「10年以上応援してたけど初めてあかりんと会話しました」という方もいらっしゃって、リモートで今の時代だからこそ気づけた応援の声だと思います。ただ、直接会いに来てくださるというのは、会場まで来てくださるまでの思いのようなものもその時間に乗っているので、やはり「直接会う」というのは、それ自体を愛情として受け取ることができる、一番わかりやすいものなので、すごくたくさんパワーももらえましたし、安心もできましたね。応援してもらえている、ということへの安心をすごく感じました。私は握手会をきっかけに注目していただいて、今の立ち位置にも立たせてもらえていると思うので、会えるイベントで握手ができないことは自分にとってはすごく良くないというか、人としての魅力がすごく少なく感じられてしまうのではないかと、すごく不安でした。「トーク会」をしてみて思ったのは、私という人間に価値を感じてくれたから会いに来てくれていたんだ、ということに改めて気付けたのが、今回私はすごくいい経験になりました。

―― 物理的な握手は当分難しいかもしれませんが、直接話せるだけでも、かなりファンの皆さんとコミュニケーションは取れるわけですね。

須田: 1対1で話せるのは、やっぱり1人の人間としてお互いを見ることができるので、安心感がありますね。

―― (林さん、井上さんに)お2人は、いかがでしたか。

井上: 「現地でトーク会」では、ファンの方はマスクを絶対にしてアクリル板越しで話をするのですが、久しぶりに会えたファンの方がおられたり、来てくださって「会えない時間でもすごく思ってくれてたんだ」と実感したりして嬉しかったです。「自分がマスクをしていて気づかれないんじゃないか」と思っているファンの方が結構多かったのですが、全然そんなことありません!目だけで本当にはっきり分かります。握手会に比べれば声が聞きづらい面はあるかもしれませんが、ちゃんと会話はできるし、顔もちゃんと分かってるし、「伝わってるよ」ということを直接伝えられたことも、すごく良かったです。コロナの期間で会えない状況でも離れずに、私のことを応援してくださるファンの方のことを大切にしようと改めて思いました。

―― 林さんは、いかがですか。

林: 握手会は参加したことがありませんが、「現地でトーク会」で初めてファンの方と対面しました。マスク越しなので少し悲しいなと思いましたが、すごく新鮮な経験でした。「こんな顔してるんだな」と思っていたら、劇場公演ではファンの方の顔が見えづらかったことを思い出して、改めて嬉しくなりました。最初は、目だけでファンの方を覚えるのは結構難しいんですよ。でも、話していくうちにその人の個性が分かって、だんだん覚えられたりするので、トーク会があって本当に良かったと思いますし、またやりたいです。

―― 新型コロナウイルスの感染は厳しい状況が続きますが、創意工夫で少しずつ「日常」に近づけるかもしれませんね。

須田: そうですね、これからが楽しみです。

AKB48シングルへの姉妹グループ参加はなくなったけど...

―― グループ活動のあり方も変わってきそうです。例えば、AKB48グループとしての活動は大幅に減りそうです。須田さんは2回も濃厚接触者に認定されて大変な思いをなさったわけですが、2回目はAKB48グループの選抜メンバーとしてテレビ番組の収録に臨んだ直後に他グループのメンバーの感染が確認されたことが原因でした。さらに、成人式イベントはAKB48グループメンバーが神田明神(東京都千代田区)に一堂に会して行われてきましたが、21年は県をまたいだ移動を避ける意味もあって、グループごとに行われました。SKE48は熱田神宮(名古屋市熱田区)でした。井上さんは22年1月に成人式ですね。地元開催の方が地元メディアには注目されやすいという面はありますが、なかなか難しいところですね。

井上: 私は本当にAKB48グループが大好きで、その中でも1年に1度しかない成人式で、普通にやるんじゃなくて、アイドルとしてAKB48グループとして、みんな集結して、しかも同い年の人たちとやれるっていうのが、もうめちゃくちゃ憧れがあって...。テレビとかでも毎年ニュースになったり、集合写真もアップにしたりして、かわいいと思いながら見ていました。22年はどうなるか分かりませんが、SKE48として成人式をAKB48グループの一員としても迎えられることがまず幸せです。どんな形であっても、成人式がSKE48だけでも集まれたら、それもそれですごく私は幸せですし、自分の振袖を着た姿をファンの方に見せるのが、また一つの恩返しになるんじゃないかなと思っているので、楽しみにしています。

―― AKB48の新曲には長い間姉妹グループのメンバーも参加し、事実上「AKB48グループ」の楽曲として発売されてきました。ですが、新曲「根も葉もRumor」(9月29日発売)にはAKB48メンバーのみが参加し、約10年にわたって続いた慣行が崩れることになりました。「LOVE TRIP」(16年発売)から12作連続、「恋するフォーチュンクッキー」(13年発売)から通算18作品にわたってAKB48のシングル表題曲に参加してきた須田さんとしては、この状況をどう受け止めますか。SKE48の活動に専念できると解釈できる一方で、AKB48はテレビ出演が多い分、その分露出が減ることにもなります。

須田: どうでしょうね...。ひとつでも出られる場は多い方がいいので、やっぱり減ってしまうっていう部分では、惜しいのかな...。やっぱり、AKB48の名前だからこそ立てた場所は実際あったと思いますし、(音楽番組の)特番でも、「AKB48グループから1組」となればAKB48しか出られなかったりします。AKB48グループ自体が盛り上がれば、SKE48ももっと見てもらえるって思ってAKB48の場でも頑張ってきましたが、そのやり方がかなわなくなったとは思っています。
方法は変えようと思っています。AKB48グループは、グループごとに所属会社が変わったので、個々に活動することが増えていく分、SKE48はSKE48で大きくなって話題になれば、きっと「AKB48グループから1組」となったときに「SKE48で」となる日も、別にないわけではないと思います。なので、それは素直に狙ってもいいのかなって思います。以前は、SKE48である以上に「AKB48グループの一員だから」という気持ちでいましたが、今はSKE48はSKE48で攻めていけばいいじゃないか、とシンプルにSKE48に染まることができます。もちろん、(AKB48グループの一員としてテレビなどに)出られるに越したことはありませんが、今の状況をポジティブに、強みにして、攻めていけたらいいと思っています。

―― SKE48であれば、今までよりも名古屋に密着した活動を展開したりと、各グループ独自の活動が進みそうですね。

須田: そうですね。よりやりやすくなる部分もあると思うので、AKB48グループ同士で刺激を与えながら活動ができればいいと思います。AKB48も新番組(「乃木坂に、越されました~AKB48、色々あってテレ東からの大逆襲!~」(テレビ東京))が始まりましたし、AKB48があれだけ面白いことやってるんだったらSKE48も何かやりたいよね、というふうに、SKE48はSKE48で、いろいろなグループのメンバーに刺激を与えていけたらいいと思っています。

卒業は「いろいろなことが円滑になってから」

中央の林美澪さんは初めてセンターポジションに抜擢された
中央の林美澪さんは初めてセンターポジションに抜擢された

―― 話は変わりますが、AKB48グループ最年長の柏木由紀さんが、7月15日で30歳の誕生日を迎えました。柏木さんは30歳までAKB48を卒業しないことを宣言していたので、いよいよ卒業の時期が焦点です。柏木さんの次に年長の須田さんも、11月に30歳の誕生日を迎えます。20年1月のインタビューでは、「心と体が元気で心からの笑顔をファンの方に見せられる範囲でアイドルをやります!無理もしない感じかなあ」とおっしゃっていましたが、1年半がたって、卒業に対する心境の変化はありますか。

須田: 今は何も考えてないですね...。先輩2人(松井珠理奈さん、高柳明音さん)が卒業発表してから1年辞められなかったという状況があり、コロナ禍で、どうしても思い通りに卒業の話が進まなかったということがあったので、いろいろなことが円滑になってから卒業はしたいと思っています。アイドルの私とファンの方とのお別れの仕方は、すごく大事にしたいです。卒業メンバーの最後の握手会は、いつも横から見ていてすごく感動的だったので、できたら、欲を言えば握手会もしたいです。ライブも(今は禁止されている)みんなのコールが聞きたいな、というのもあります。それまでは、こっそりとSKE48の中にいさせてもらえれば...とも思います。

―― そうなると、卒業はある程度、先のことになりそうですね。

須田: でも、ファンの方に先日これを伝えたら、「無理しないで全然辞めてもいいんだよ」って逆に言われちゃって...。すごく応援してくれてる方に言われて、それはそれでショックで。(笑) 私の心身を心配して将来のこととか、「子どもを産むんだったらそろそろ結婚しないと難しいんじゃないか」「無理してアイドルを続けなくても、アイドルやめても握手会はできるよ」とか、いろんなことを本当にファンの方が心配してくれているのですが、意地を張るならば「握手会もコールも」というのがあるので、それが整ってから辞める準備が進められたらいいと思っています。

―― 辞めるにも、さまざまな環境整備が必要だということですね。

須田: もう何も後悔なく辞めたいので、それまでは後輩をうまくサポートする側に回れたらいいと思っています。

―― 実際の卒業までにはある程度時間がありそうですが、その間に、若いお二人に伝えておきたいことはありますか。

須田: やっぱり「アイドルは楽しんでね!」ということです。私が12年間アイドルを続けてこられたのはアイドルを楽しんだからだし、ファンの方との関係性を、いつも幸せだなと思えたからなので、アイドルでいる幸せを全部1から10まで、もう100ぐらいまでは本当に楽しんでから「アイドルを全うした」とみんなには言ってほしいです。アイドルをやっていたら、つらいこともあると思うけど、ファンの方がいる限り、それも喜びに変わって未来に必ずつながるものになるから、「アイドルをどうやったら楽しめるか」をメンバーにたくさん伝えていきたいです。

―― 若いお二人は、アイドルを楽しんでいる感じですか。

須田: いや、まだ楽しめる。まだ足りてない。「楽しい」って言ってくれるんですけどね。
井上: 「今楽しいなら、これからもっと楽しくなる」って言われています。楽しみです!

林美澪さん プロフィール
はやし・みれい 2009年生まれ、愛知県出身。19年に10期生としてSKE48に加入。AKB48グループ最年少(21年8月時点)。今作「あの頃の君を見つけた」で、研究生ながら初めて選抜メンバー、センターポジションに抜擢される。

井上瑠夏さん プロフィール
いのうえ・るか 2001年生まれ、熊本県出身。16年に8期生としてSKE48に加入。25枚目のシングル「FRUSTRATION」(19年)で初選抜。3作連続で選抜入りしている。愛称は「るーちゃん」。

須田亜香里さん プロフィール
すだ・あかり 1991年生まれ。愛知県出身。2009年にSKE48に3期生として加入。チームEのメンバーで同チームのリーダーを務める。4枚目のシングル「1!2!3!4! ヨロシク!」(10年)以降の全シングル表題曲に参加。AKB48のシングル表題曲にも通算18作品参加した。18年の「AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙」では2位にランクイン。

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