愛知県常滑市内で2021年8月29日に行われたヒップホップ系の野外フェスティバル「NAMIMONOGATARI」で、参加者らが密状態になって踊るような写真や動画がツイッターなどに投稿され、物議を醸している。
ラッパーのZeebraさん(50)らが問題を認めて、ツイッターで謝罪する事態になった。ルール違反があったとして、愛知県や常滑市は主催者に抗議し、主催者は、「お詫びと経緯のご説明」とする謝罪文を公式サイトに出した。
出演者のZeebra「開けてみたら危険な状況でした」
会場となった「Aichi Sky Expo」では、参加者がぎっしりとすし詰め状態になっている。
「止まる気ないですよね!」。出演者の男性がステージを走りながら会場の参加者に声をかけると、ワーと大声を出して参加者が手を突き上げた。
これは、野外フェスのステージ上から撮られた動画の1シーンだ。
出演者が大声で声をかけると、参加者も大声で呼応し、歌や演奏が始まると、みな飛び上がってカオスともいえる状態になった。
野外フェスの会場は、スマホでの撮影が認められており、ツイッターやインスタグラムには、参加者が撮った写真や動画も次々に投稿されている。それらを見ると、参加者が踊りまくって、体をぶつけ合うモッシュのような状態になり、若い女性が「ヤバい、ヤバい。めっちゃヤバい!」とぶつけられるなどして悲鳴を上げるようなものもあった。
NAMIMONOGATARIの公式サイトによると、2005年よりスタートした日本最大級のヒップホップ系野外フェスで、8月29日の日曜日は、Zeebraさんら大物アーティストが多数出演した。新型コロナウイルスの感染対策としては、サイト上などで、マスク着用や大声の禁止、1メートル目安のソーシャルディスタンスを守ることなどを参加者に呼びかけていた。
ところが、投稿された写真や動画を見ると、マスクをしていない人も多く、大歓声で踊りまくるような状態だ。また、お酒を飲んでいる人の姿も見られた。
愛知県では、8月8日にまん延防止措置が発令され、感染者が1日で2000人を超える事態となって、27日には緊急事態宣言が出された。それだけに、ネット上では、主催者側などの対応に疑問や批判が噴出し、ツイッター上などで釈明する出演者も出た。
Zeebraさんは30日、「県のルールに則ってると聞いていたので出演しましたが、開けてみたら危険な状況でした」とツイッターで告白し、当日はマスクの着用徹底などを伝えたが、「そもそも出演すべきでは無かったという意見もごもっとも」だとして、「ヒップホップシーンを牽引する立場として責任を感じてます」と謝罪した。