今頃になって「臨時のプレハブ施設でもいい」
尾身会長は、ここ1年半くらい感染者の拡大を防ぐために行動制限一本槍だった。1年以上前から、医療体制強化のための緊急包括支援交付金や新型コロナ患者入院確保のための緊急支援事業などの予算は確保されていたが、未消化であったり、補助金を受けていても実際に患者受け入れを怠ったりして、医療の供給体制は強化されていない。この点について、尾身会長は1年以上前には何ら発言をせずに、今頃になって「臨時のプレハブ施設でもいい」といっているのはかなり無責任だ。
日本でもワクチン接種はかなり進んでいる。24日時点で、少なくとも1回接種は国民の54%、2回接種も43%になっている。となると、政府、尾身会長もワクチン接種者をどのように社会の中で活用すべきかを考えたほうがいい。民間のソフトバンクは、プロ野球でワクチン2回接種者に対し、9月2~5日の4試合を対象にチケット販売する(各試合の動員上限は5000人)と発表した。
ワクチン接種者と未接種者を同一視するよりも、区別して合理的に考え、社会を回すことを考えたらどうか。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。