2021年8月24日、放送倫理・番組向上機構(BPO)は「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について審議入りすることを決めた。
BPOは公式サイトで審議入りについて、「個別の番組を対象とするものではない」としつつ、「視聴者やBPOの中高生モニターから、出演者に痛みを伴う行為を仕掛け、それをみんなで笑うような、苦痛を笑いのネタにする各番組は、『不快に思う』、『いじめを助長する』などの意見が継続的に寄せられてきていること等を踏まえ」と説明している。
なお、BPOのサイトでは毎月「視聴者から寄せられた意見」とのタイトルで、視聴者から送られてきた意見を公表している。今回の決定に影響を及ぼしたと考えられる意見はどんな内容か――。
「傷害事件になりかねない。制作者や放送局の常識を疑う」
8月26日時点で同サイトに掲載されている最新のものは「2021年7月に視聴者から寄せられた意見」。「番組全般・その他」の欄には、
「仕掛け人であるマネージャーがターゲットであるタレントに対して本人を侮辱する暴言を浴びせて怒らせる、というドッキリに非常に不快感を抱いた。激昂したターゲットが仕掛け人に手をあげる寸前だった。傷害事件になりかねない。制作者や放送局の常識を疑う」
とする意見がある。
また、2021年6月の「番組全般・その他」欄には、
「芸人夫婦の妻側が仕掛け人となって離婚を切り出すいわゆる『ドッキリ」で、夫が号泣していた。いくら『ドッキリ」でも度が過ぎる。番組スタッフに人権を尊重する意識が欠けているのではないか」
と、ドッキリ番組にも限度があるとする意見があった。
「悶え苦しむ姿を面白おかしく放送していた」
また、2021年4月には、「『危険行為』に関する意見」の欄に
「"ダジャレを実現"『ブルーをかぶ~る』と称して青い液体を芸人の顔に浴びせ続けるドッキリ企画を放送していた。芸人は息もできないほど苦しんでいるのにスタッフは浴びせ続け、周りのものは笑っていた。子どもたちが真似したら大きな問題になりかねない。人を傷つけて笑いを起こそうとするのは止めて欲しい」
と、お笑い芸人への虐待ではないかとする意見、さらには、
「どっきり企画で、男性芸人の下着にハッカ液をぬり悶え苦しむ姿を面白おかしく放送していたが、この上もなく不愉快な気持ちになった。子どもがマネをし、いじめに繋がる可能性もある」
と、やはり、「悶え苦しむ姿」という表現を使って放送を問題視する声が紹介されていた。
これらが、今回のBPOの決定にどれほどの影響を与えたかは定かではないが、「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」というカテゴリーに入りかねない番組に対し、不快感を覚える視聴者は一定数いるようだ。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)