菅首相「明かりは見え始めています」発言に止まない批判 世論との乖離浮き彫りに

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   「メッセージが伝わらない」との指摘が絶えない菅義偉首相の記者会見が、さらに強い批判にさらされている。

   とりわけ2021年8月25日の記者会見で批判を受けたのが、「明かりははっきりと見え始めている」という発言だ。新型コロナの感染収束が見えない国民の実感とはかけ離れた発言で、ネット上では直後から疑問の声が続出。野党からも認識を疑問視する声があがった。

  • 記者会見に臨む菅義偉首相
    記者会見に臨む菅義偉首相
  • 記者会見に臨む菅義偉首相

「言葉が国民に届いていない」指摘に「しっかり受け止めて真摯に対応」

   この日の会見は、新たに8道県に緊急事態宣言、4県にまん延防止等重点措置地域を出すことにともなって開かれた。記者会見を開いても国民の納得度が上がらない状況が続いており、今回もその傾向は変わらなかったようだ。記者からの質問では、緊急事態宣言地域などが拡大し、自宅療養者が重症化する事案が増えていることについて

「ワクチンに偏った政策や総理の言葉が国民に届いていないことが原因ではないか」

という指摘も出た。菅氏は

「しっかり受け止めて真摯に対応していきたい」

と応じるにとどめた。

   問題になったのが、この答弁に先立つ冒頭発言だ。ワクチン接種がデルタ株にも有効で、抗体カクテル療法で重症化を防ぐことも可能なことを挙げながら、「明かりははっきりと見え始めています」と言い放った。

   会見中盤には、

「いまだ感染のピークも見通せない。国民にはその明かりは見えて、総理と同じ明かりは見えているのかどうかというのはちょっと疑問に感じている。いつになればその明かりは届くのか」

などと発言の意図を疑問視する質問も出た。菅氏はワクチン接種と抗体カクテル療法の効果を繰り返し説明し、「今は2つの武器を持っている」。さらに人流を減らすテレワークや病床の整備が進んでいるとして、

「そういうことが具体的になり始めてますから、私は、明かりが出てきているということを今、発言をさせていただいた」

と説明した。

「全く見えないトンネル内だよ」「酔ってるのかな??」

   ただ、「明かりが見え始めている」発言の納得度はきわめて低く、ツイッターには

「全く見えないトンネル内だよ」「酔ってるのかな??」「幻覚が見えてるってこと?蜃気楼か...?」

といった声があふれた。

   翌8月26日午前の参院厚労委員会でも、野党からは発言を疑問視する声が相次いだ。

「私は数字を見ている限り、まったく明かりがはっきり見え始めている状況だとは思えない。重症者は連日、最多を更新している。各都道府県で新規感染者も拡大している」(立憲・田島麻衣子参院議員)
「総理には見えているのかもしれないが、国民には見えていないと思う。示すべき明かりとして最も求められているのは、今在宅で死の恐怖と戦いながら入院できないでいる方たちにとってこそ、明かりを示すべき。総理はそういうメッセージを発するべき」(共産・倉林明子参院議員)

   国民民主党の玉木雄一郎代表は同日午前の記者会見で、

「毎回プラスのメッセージとマイナスのメッセージを混在したメッセージを伝えるので、『緊急事態宣言だからしっかり自粛しなきゃいけないんだ』と思わせるよりも、『明かりが見えてるんだったら、もう別に何もしなくても自然体でその明かりに近づいていくだろう』というふうに受け取ってしまう人もいると思う。方向の異なるメッセージを出し続けていることが、効果が出ない一番の理由だと思う」

などと指摘し、記者会見の発言自体が感染収束のさまたげになっているとの見方を示した。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

姉妹サイト