2021年8月23日に放送されたドラマ「ナイト・ドクター」(フジテレビ系)第8話では、俳優の田中圭さん演じる医師・成瀬暁人の苦悩が描かれた。
インターネット上では、成瀬の苦悩をめぐって後輩の桜庭瞬(北村匠海さん)が発したセリフに注目が集まっている。
脳外科のスペシャリストへの劣等感
ドラマの舞台は、365日24時間どんな患者も断らない医療を目指す「あさひ海浜病院」が立ち上げた夜間勤務専門の救命医チーム「ナイト・ドクター」。
医師6年目の主人公・朝倉美月(波瑠さん)は、そこで熱い意思を持って働き始め、チームで出会った深澤新(岸さん)、成瀬(田中圭さん)、桜庭(北村匠海さん)、高岡幸保(岡崎紗絵さん)という年齢も性格も価値観もバラバラな5人の医師とともに、医療や人生を見つめていくというストーリーだ。
※以下、一部ネタバレを含みます※
以前から、脳外科に興味を持ち、また脳外科からも異動してくるよう打診されている成瀬。そんななか、くも膜下出血の患者が運び込まれてきた。成瀬は進んで執刀にあたるが、開頭後に通常の動脈瘤ではないことが判明したため手術を途中で断念し、
「ここから先は、専門の脳外科医の判断に任せたいと思います」
と患者の親族に説明する。昼勤務の脳外科に引き継ぎをするが、その患者を後輩の医師・里中(古舘佑太郎さん)が執刀したと知り、成瀬は後輩より技術が劣ることを突き付けられ、複雑な心境に陥ってしまう。
「専門性のない仕事を選ぶなんてリスクしかない」?
そんな成瀬の様子に、同僚たちからも賛否の声が。桜庭は、
「救急医がほかの科の先生たちからなんて言われているか知ってる? 『なんでも屋』」
「幅広く初期治療を行える代わりに専門性は皆無で、一生中途半端な医者で終わるだろうって」
と成瀬の脳外科に行きたい気持ちを想像して同情。続けて、「人生100年時代に、専門性のない仕事を選ぶなんてリスクしかないでしょ」と、救急医に懐疑的な意見を持っているようだ。
一方、成瀬が脳外科への異動を真剣に考え始めた矢先、今度は脳腫瘍のある急患が運び込まれてくる。無理に手術を進めず、きちんと正しい応急処置をした成瀬に対し、またもや患者を引き継いだ里中は
「こんなにありがたいバトンはありませんよ。優秀な医者が夜にいてくださって本当によかったです」
と感謝する。これに成瀬は、ナイト・ドクターとしてさらにまい進していこうと決意した上、シフトを調整して脳外科に研修という形で勉強していくことになるのだった。
仕事において専門性の有無を重視する桜庭の発言は、多くの視聴者にも響いたようで、ネット上では
「人生100年時代に専門性のないものを選ぶのはリスク... うっ... それは私にきく...」「グサッと来たな...」
「医者でも自身のキャリアのことこんな風に考えるのか... 医師は専門職なのにそこからまた細分化されてキャリアのあり方が変わるとは。 ドラマ観てて納得だけど衝撃だ」
「専門性がない悔しさ...か。 確かに、この位の年齢でぶつかる壁かもしれない だいたい何でもできるようになって来たけど、これだけはってものが無いことに感じるコンプレックス。 成瀬先生のそういう微妙な気持ちを繊細に表現できる、ほんとそういう所が大好きなんですよ」
などと反響を呼んでいる。