プロ野球の日本ハムOBで野球解説者の岩本勉氏(50)が、2021年8月23日放送の「岩本勉のまいどスポーツ」(文化放送)に出演し、日本ハムから巨人に移籍した中田翔(32)について言及した。
岩本氏「これは大ごとなんですよ」
中田は11日、日本ハムの同僚だった選手への暴力行為で球団から無期限の1、2軍戦の出場停止処分を受けた。この処分からわずか9日後の20日に巨人への無償トレードが決定し、中田は同日1軍の練習に合流。翌21日のDeNA戦で代打出場を果たし、22日には移籍後初の本塁打を放った。
中田と親交があるという岩本氏は番組冒頭に「今現在、現実はユニフォームを着て野球を続けられているわけだからチームのために家族のためにバットを振り続けるしかない」とし、巨人移籍に関して「4つ思うことがある」と続けた。
岩本氏が最初に指摘したのは、日本ハムの球団主導で中田の謝罪会見が行われなかったことだ。岩本氏は「監督か球団社長と中田が同席をして会見を開くべきだったと思う」と指摘し、持論を展開した。
「これは大ごとなんですよ。被害を受けた選手は大ごとにしたくない。その気持ちは分かる。でも世に公表したということは大ごとなんですよ、暴力事件。だったらやっぱり監督と中田か、球団社長と中田が公の場で何か発しないとコメントを。暴力事件ですよ。高校野球でもし部員の暴力事件があったらチームは全体責任で出場出来なくなったりしますよね。僕も味わったことがあります」と自身の経験を交えながら訴えた。
岩本氏「ジャイアンツも美談じゃなくて厳しい目も持っておくべきだ」
2つ目として、岩本氏は中田の巨人移籍決定後のメディア報道に疑問を持ったようで、「背番号10番という中田に対してのすごくリスペクトもあって中田はラッキーやなと思って見てた。でもその後、長嶋(茂雄)名誉監督にあいさつする。当然でしょう。でもそれをわざわざ報道したりとか、医療従事者への300万円の寄付とかそういう報道があったでしょ。美談を無理やり作っているように感じてしょうがなく」と語り、「ジャイアンツも美談じゃなくて厳しい目も持っておくべきだ」と指摘した。
岩本氏が3つ目に指摘したのは、日本のプロ野球を統轄する日本野球機構(NPB)のルールについてだ。岩本氏はあくまでも個人的な意見としてNPBに対して「ルール作ろう」と呼びかけ、4つ目に中田個人に対して被害を与えた選手や家族、日本ハムファンが納得するようなものを自身のバットで示さなければならないとした。
後輩の中田や古巣日本ハムへ熱い思いを語った岩本氏は「忖度じゃなくて僕はいち個人、野球人としての意見を言わせてもらうけども」と前置きし、中田の巨人移籍に関する一連の出来事に対して思いを吐露した。
「あまりにもファンありきのプロ野球だということをちょっと棚に上げ過ぎだ。誰に支えられている集団なんですか、組織なんですかと思うと、やっていないことが多すぎる。選手として中田はすごく有能です。でも無理やり美談作って彼に何かオブラートを包むことはしなくていい」
岩本氏の指摘にツイッターでは「ど正論」のほかに「岩本さんの意見に共感」「全くその通り」「OBで言いにくいだろうがよく意見してくれた」などの声が上がった。