「国後島から亡命希望」に日本政府が苦慮する理由 ロシアの面会要求が持つ「重い意味」とは

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「ロシアに送還するようであれば、日本がロシアの実効支配を容認することに」

   日本政府は、現時点ではロシア側への情報提供にはきわめて慎重だ。8月22日午後には、ロシアの在札幌総領事館が日本側とのやり取りについて、フェイスブックで

「日本のメディアが警察関係者の話として事件の詳細を報じているにもかかわらず、日本政府は公式な情報の提供を拒んでいる」

と明かしている。

   具体的には、北海道警が「外国人は札幌の入国管理局に引き渡されているので何も知らないと言っている」のに加えて、海上保安庁は「データが全くないと言っている」。札幌出入国在留管理局については、「東京からの指示がなく、男性の国籍が確認できないため、ロシア総領事館に協力はできないと言っている」としている。

   それでも、ロシア側としては

「その男性のロシア国籍が確認された際には、日本の当局から適切な情報を得て、面会するつもりだ」

という方針を掲げている。

   だが、北方領土が日本固有の領土だという日本側の主張をそのまま当てはめれば、男性は単に日本国内を20キロ泳いで移動したに過ぎない。この点を念頭に、8月23日午前の加藤勝信官房長官の記者会見では、

「ロシアに送還するようであれば、日本がロシアの実効支配を容認することになる」

という指摘も出た。加藤氏は、男性について「札幌出入国在留管理局において、事情聴取が行われていると承知している」などと話したものの、今後の対応についてはコメントを避けた。

「個別案件で、具体的な取り扱い、あるいは今後の取り扱いについてコメントは差し控えさせていただくが、事実関係をよく確認の上、関係機関が連携し、適切な対応を図っていきたい」

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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