中日新聞杯に勝った彼女は...
また、シナリオの終盤で有馬記念直前に出走する中日新聞杯について。史実のナイスネイチャが中日新聞杯に出走したことはない。だが、ナイスネイチャをゲームのウマ娘で表現するときに、この中日新聞杯を1着となる条件とするのは実はかなり大事なことだと思っている。
まず4歳時にナイスネイチャは当時有馬記念の2週前開催だった12月の鳴尾記念を1番人気で勝利している。2012年から鳴尾記念は12月から6月に開催時期が移動しており、今の日程では再現できない。そして思い出して欲しい。約2年7か月ぶりに勝利した高松宮杯は中京でのもの。そして現在、高松宮杯は高松宮記念としてG1に昇格し、距離も2000mから1200mに変わってしまっている。
つまり、この中日新聞杯1着条件というのは「12月の鳴尾記念」「約2年7か月ぶりに勝てた中京2000mの高松宮杯」をまとめて表現できるレースだったのである。現在と当時で日程や距離、グレードまで変わり、さらに3年と限られた育成シナリオのなかでナイスネイチャの史実を表現するにはコレがベストだったといえよう。
ゲームで中日新聞杯を勝ったナイスネイチャは「長かったなあ...」と勝利を噛みしめる。松永騎手が「負けても負けても応援してくださったファンの皆さんを思うとホッとした」とコメントした高松宮杯での気持ちが表現されたシーンだろう。
シナリオの最後、有馬記念の勝利――史実では5年連続出走しているナイスネイチャにとって悲願のレースで勝たせてあげるのは、トレーナーである「あなた」である。
(公営競技ライター 佐藤永記)