リアルイベントにも進出、しかしブームの中に後悔も
最初はフロムゲーマーズというゲーマーズで配布しているフリーペーパーの四コママンガから始まり、徐々にオタク層に認知されていった。
「イベントで来てくれたファンが『このキャラいいよねー』と言ってくれたりして、流行っているんだという実感が徐々に出てきましたね。グッズも作ったらこれも売れたので、CMも作っちゃえとなってアニメCMを制作したらこれも『一体何だ!?』と話題にしてくれた。そこで勢いでTBSさんからオファーを受けてできたのがワンダフル版のショートアニメ(1999年)だったのです。アニメ化でさらにブームは広がったと思います。最初のCMなんて手作り感が強くて、社員がCMソングを歌っていましたよ」
こうして90年代末から00年代初頭にデ・ジ・キャラットのブームが巻き起こった。でじこ役の真田さん、ぷちこ役の沢城さんはともにオーディションで選出されるが、当時中学生だった沢城さんのデビュー作でもある。オーディションは審査員票とファン投票で決めるという、ファンとスタッフの距離も近い「手作り感」に満ちた時代でもあった。
「今の30代前後のファンの人達は『デ・ジ・キャラットにょ』で知ってくれた人が多いと思います。2003年4月から1年間、日曜日の朝に30分枠で放送していたことの貢献は大きかった。それより上の40代以上のファンはショートアニメの頃から見てきた人が多いようです。代表曲ともいえる『PARTY☆NIGHT』も覚えてくれている人が多くて、当社のリズムゲーム『D4DJ Groovy Mix』でカバー曲を実装した時も『懐かしい』『聴いたことある』という反応がありました」(木谷さん)
この頃から出演声優によるライブイベントも何度も開催していて、アニメ・ゲームコンテンツのライブ開催のはしりとなった作品の一つでもある。
「横浜アリーナでライブを開催した時、いつもここで開催される公演でお花を届けている花屋さんが『初めて名前を知らない人にお花を届けた』と言っていました。それまでアニメ声優が横浜アリーナ規模の会場でイベントをやるなんてなかったことでしょう。まだ駆け出しだったとある声優のプロデューサーの方もイベントに来ていて『こんなやり方があるんだ』と、その後のライブ開催の参考にしていったなんて話も聞きます」
ただ、後悔が全くない訳でもない。もともとコアなマンガ・アニメファン向けのマスコットでもあったので、ショートアニメでは当時のオタクカルチャーを風刺する作風でもあった。これが子ども向けにもリファインされていく過程でデメリットもあったという。
「最初は『可愛い顔して毒舌』なのもでじこ達の売りでした。そうやってコアなマニアの間で人気が出たものって、マス向けに展開していきたくなるし実際そうしてみたのですが、マスに受け入れられるためにキャラクターの尖った要素が薄まってしまったのも確かです。でもショートアニメだけで5年10年と続いた作品はほとんどありません。『トムとジェリー』くらいでしょう?『デ・ジ・キャラットにょ』で覚えてくれている人も多いので、今も続いていることも踏まえて、長い目で見るとマス向けに展開してよかったのかなと思います」