「PUI PUI モルカー」ゲームで不快広告...利用者「子供に見せられない」 開発会社は対応苦慮

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   大ヒットテレビアニメ「PUI PUI モルカー」のスマートフォンゲームをめぐり、一部の利用者から苦情が寄せられている。子どもが遊ぶにもかかわらず、露骨な性描写や残虐な内容を含む広告が表示されているとの指摘だ。

   運営会社は取材に「意図して流しているわけではございません」と釈明し、対応の難しさを打ち明けた。

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  • ゲームプレイ画面
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「怖い広告が出てきて子供が泣いた」

   モルカー初のスマホ向け公式ゲーム「PUI PUI モルカー もぐもぐパーキング」が2021年8月13日に配信された。基本プレイは無料。

   アニメに登場するキャラクターを操作し、パーキングエリアからの脱出を図る内容だ。簡単な操作性が特徴で、「大人から子供まで誰でも気軽に楽しめます」とうたっている。

   アプリストア「グーグルプレイ」での評価は5点満点中4.2(1975件のレビュー、17日時点)。「モルカーたちのアクションがひたすら可愛い」「子供が楽しんでやってます」と好意的な書き込みが目立つ。アニメで監督を務めた見里朝希氏は「世界観が細かく再現されていてありがたい限りです」とツイートし、太鼓判を押した。

   一方、ゲーム内の広告をめぐり「暴力・グロ(テスク)系や性的な物が多く出てくる」「過激な描写のゲーム公告が流れたりする」「子供には見せられない広告ばかり」「怖い広告が出てきて子供が泣いた」など子どもへの悪影響を心配する声も少なくない。主にゲームや電子書籍の分野で、不快な広告が散見されるようだ。

   運営側は指摘を受け、16日に「稀に広告サービス企業様の判断基準の差異などにより、我々運営チームも望まない不適切な内容の広告が配信されてしまうケースが発生しています」とゲーム内で非を認め、該当する広告を見つけた場合は連絡してほしいと呼びかけた。

   17日には、一部のバナー広告や動画広告を非表示にできるなどの特典がある「VIPモード」(610円)が導入された。

広告の事前チェックにも限界

   ゲームの開発を手掛けたグッドラックスリー(福岡市)の担当者は17日、J-CASTニュースの取材に「非常に申し訳ない思いです」と陳謝しつつ、「意図して流しているわけではございません」と釈明した。

   同社によれば、広告は複数の広告配信会社を通じて出稿しており、基本的には関与していないという。

   「モルカーの世界観を大事にしたい」との思いから健全な広告のみ表示したいものの、「日々、何百案件もある広告を事前にすべてチェックするのは現実的に難しい」と対策の難しさを明かす。

   ギャンブルやアダルトなどセンシティブな分野は事前に拒否しているものの、より細かい設定はできないという。

「『ゲーム』のカテゴリーの中に、例えば『残虐』や『アダルト』などの小カテゴリーがあれば事前にブロックできますが、残念ながらその粒度でのフィルタリングができないのです」「それぞれの広告配信会社さんの判断基準も異なっていて...例えば企業Aであれば不適切だとはじいてくれても、企業Bでは問題ないとみなされて、間を抜けてしまう」

   ゲームのカテゴリーであれば、健全な広告が大半を占めており、「ゲーム単位」でのブロックは収益を大きく圧迫してしまう。配信後に不適切な広告を見つけた場合、クリエイティブに加え広告主単位でも停止措置できるが、複数の法人名義を使い回されるケースもあるという。

「なにより利用者の端末によって趣味・嗜好が違うので、私たちが持つ検証用の端末だけではすべての広告をチェックしきれない面があります」(担当者)

   ネット広告では、ユーザーの趣味・嗜好に合わせて配信する「ターゲティング(追跡)」という手法が広く使われている。ネットの行動履歴や位置情報、年齢などのデータを基にしており、掲載側がすべての広告を把握するのは困難というわけだ。

   「いまの日本のネット広告の仕組みだと、100パーセント防ぐのは難しく、一部でいたちごっこになってしまう」と複雑化したネット広告の課題にも触れた。

「売り切り型」にしなかった理由

   グッドラックスリー社はそうした事情から、事後対応に注力せざるをえない状況だという。

   広告を日々チェックし、不適切なものを見つけ次第、配信会社に連絡して掲載をやめてもらう。確認が漏れた場合に備えてユーザーの手も借りる。

「売り切り型のゲームとしてのやり方も考えられましたが、我々の思いとしては、現在の状況は不本意ではあるものの、一人でも多くのお客様に無料ですべての内容を遊んでほしいです。そのため、モルカーのゲームは『ハイパーカジュアル』(無料で気軽に楽しめるゲーム)にした背景があります」
「広告配信会社と連携してより安全な広告が出るよう、常に調整を続けていきます」(担当者)

(J-CASTニュース編集部 谷本陵)

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